煙炎 A ―その頃ローグダウン西海岸― 次に着いたのはガープ 裏海岸で待機している船の中迄は街の中枢付近から騒ぎの音が鳴り響いて聴こえている 『お〜おぉ〜おっぱじめやがったかルフィ』 「ガープ中将…本当にこのまま参戦しないで良いんで?」 『あぁ?良い良い!アノ白猟とルフィが暴れてんのにお前等がしゃしゃり出た所で蹴散らされるのは目に見えとる!邪魔者以外の何物でも無い!』 「邪魔?!…ハァ…そ…そうですか…了解致しました」 『それよりワシゃ〜もっと大事な要件を白猟に届けにゃならんのだ!アイツ等が街を出る前に今の内ちょいと行って来るから、お前等はこの船が白猟の邪魔に成らん様に見張っとけ』 「ハッ!ガープ中将!」 悪ぃな同胞達…やっぱし見合い写真何か届けに白猟の所に行って来るなんて…海軍の名に置いて絶対云えねぇからよ… 苦笑いを浮かべながらもジャケットの懐に写真をひっそりと忍ばせて、ガープも街の中に消えて行く ―その頃ポートガスDエース― 此処は事件が起きている中枢から少し外れた街の入り口付近に在る裏町の路地裏、あらかじめルフィ達の船の位置を確認し逃げる際は外の大通りを通るだろうと予測を付け今か今かとその時を待ちわびて居た あぁ〜!ルフィの奴でかくなってんだろうなぁ…アイツの事だ…きっと騒がしくも楽しい奴等仲間に突っ走ってんだろうなぁ …って悪ぃルフィ…本音はあのおっさんに早く逢いてぇ(笑)ってか抱き締めて欲しい… 早く…早く…アノ腕に…アノ香りに…アノ温もりに…包まれてぇ …スモーカーさん その時…急な突風と共に大粒の雨を携えた嵐が辺りを包んだと同時に表の通りからワアーっと云う怒涛のうねり声が上がった 『?!…っし!始まったか?!』 一人裏路地で耳を澄ますエースを横目に外ではドタバタと戦闘の響きがかなぐり合う そしてバレ無い様に建物の陰から表の通りを覗くと、やっと念願の弟ルフィ達のの姿とスモーカーの後ろ姿が見えたのだ 『居た!ありゃルフィだ!ってヤベ?!おっさん戦闘態勢でやんの?!』 その途端エースはバッと表通りに駆け出し始めたのだが、突如何処からか現れた全身黒づくめの男の茶々が入り出る杭を打たれてしまった 『?!っだよアノ野郎?!』 ふざけんなよ!人がせっかくおっさん所行こうとしてんのに?!…と、ルフィ脅かしに… ってあぁ〜?!ルフィ行っちまったじゃねぇか!ったく何なんだよ?! その後黒づくめの男も直ぐ様風の様に姿を消し嵐の中スモーカーは一人になった …っし!今だ! 再度エースがスモーカーの元へ飛び出そうとした矢先… 今度は何故か白髪頭のガープが何処からか現れ、またもや足止めを食らってしまったのだ …?!ジジィ?!何で?? 『フゥ…スゲー嵐だなこりゃあ…よぉ白猟…フフ麦わらにまんまと逃げられちまったなぁ(笑)』 『ガープさん?何でアンタがグランドライン手前の後ろ側に居るんだ…』 『いやなぁ?…何て云うんだ?…あぁ…白猟お前…嫁さん貰わねぇか?』 『はぁ??』 『いやなに…何でか成り行きでどうしてもと見合い写真をお前さんにと頼まれちまってなぁ』 『見合いってあんた??何で…ってか何で俺になんだ?』 『いやまぁ話すと長くなんだが…まぁ簡単に云ゃ〜お前さんのファンが居たって事だ、それに…白猟?お前さんだってそろそろ落ちつかにゃいかん年だろうよ?』 『………』 『最近はとんと聴かなくなってるが前は良く浮いた話も相当顔を見せてたんだしのぉ』 『…見合いなんか俺にゃ要らぬ話だガープさん』 2人の表情しか伺えないそんなやり取りを物陰から苛々見るだけしか出来ないエースは腹立ち紛れに触れる壁を力いっぱい殴り付ける ……チッ… 『大々俺は…命続くこの先アイツ以外に腑抜ける気はねぇ…』 『アイツ?…何だ白猟…お前さん今相手が居……?!』 するとガープは建物の裏から聞こえた微かな音と、見覚えの在る独特なオレンジ色の帽子に気が付いた ん?…ありゃ〜エースじゃねぇか?!…何だってあ奴が此処に?ルフィを助けに来たのか?…いやまさかな…じゃあ何でだ?…ん?待てよ?… 『なぁ白猟?…お前さんの相手ってのぁ若い娘さんか?』 『?…まぁ…笑える話だ…一回りも違う』 …あ奴は確か…二十歳だ…まさか…まさかな?… 『まぁいい…とりあえず写真だけは約束通り渡したぞ!これでワシの任務完了じゃわい』 『それだけの為にわざわざ海軍中将が此処迄来たのか?』 『頼まれたからにゃ仕方ねぇだろう!じゃあワシゃ〜帰るぞ』 『あぁ…』 そしてガープはスタスタと自分の船に戻って行った 『…ハァ』 先程より緩んだとは言え今だ雷鳴を経てている嵐の中でスモーカーは軽くため息をはいた …見合い…か… ―続く― [*前へ] [戻る] |