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煙炎
B


背徳の恋だからだろうか…たまにしか重ねられない唇の感触を胸に体に刻み込み確認し…何時までも…何時までも互いに唇を求める

『ンッ…ンンッ…スモ…さ…ん…逢…た…かっ…』

切ないから離せない唇
愛しいから振り払えない腕
捕まえていたいのに先に進め無い唇
それでも…キスを求めキスでお互いを繋ぎ止める…

そうする事しか出来ない互いの環境に毎度スモーカーは嫌気がさしていた

相容れない立場ならせめて今この時を…この一瞬を…
何者も邪魔をしないでくれ…

『ハァ…アンタと…一緒なら…ンッ…監獄だっ…悪く…無い』
『…馬鹿げた事を言うな』










―ファンファン!ファンファン!―
「全海兵に継ぐ!全海兵に継ぐ!海賊船が接近中!包囲網を突破し此方に雪崩れ込んで来る模様!直ちに攻撃用意!」

毎度お馴染みの警告音と海兵達の慌ただしいバタバタとした足音に、今日も2人の時間は強制的に幕を下ろされた

離れ難い温もりから現実に戻るキーを抜くのは何時もスモーカーの役目だ

『ぐずぐずしてると見付かる…早く出て行け…』
『…見付かっちまえば…楽になるのかな…』
『さっさと行け!!』
『ハイハイ…っと?!そういやこの前プレゼントした葉巻吸ってくれてんだな♪アンタきっと好きなんじゃねぇ?って思ってたんだ♪んじゃまたなおっさん♪』

エースは入ってきた丸窓から何処かに隠して在ったボートに軽々飛び乗り姿を消した
そしてまた慌ただしくも頭を抱える日々がやって来るのだ

スモーカーは灰皿に置かれたままだった今はもぅ炎の灯っていない葉巻をもぅ一度くわえ、椅子に浅く腰掛け再度火を灯し深く吸い込むと煙と一緒に溜め息を吐いた

―続く―



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