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煙炎
A


只々一回りも年端の違う青年に恋い焦がれ待ちわびる自分のやるせなさをスモーカーは恨んでいた

椅子のひじ掛けに片腕を乗せもぅ一度大きく溜め息をつくと窓の外で、コツンッと小さな音が聞こえる

スモーカーは残りの半分迄燃え尽きた葉巻を再度深く吸い込み外からする音に向かって一言静かに呟く

『何しに来たポートガス…』
『…んっ…しょっとっ!相変わらずつれないおっさんだなぁアンタは(笑)』
『…わざわざ捕まりに来たのか』
『ハハッ♪アンタに捕まるんならそれも悪くねぇかもな♪』
『ふざけた事ぬかすな…見ての通り今はお前に付き合ってる暇なんて無い』
『こちとら相も変わらず仕事熱心な海軍様だ』
『……ハァ…用件は何だポートガス?』
『用事がなきゃ。アンタに逢いに来ちゃいけないのか?滅多な事が無い限り俺とアンタが顔を合わす事なんて出来ねぇじゃん…でもやっぱしアンタの顔が見たくてこうやって海兵の中掻い潜ってやって来たって訳♪』
『…今はお前の馬鹿な弟が名を上げて来てるせいで海軍の奴らは躍起になってやがる…こんな中のこのこ海軍船に侵入してくるなんざ冗談抜きで捕まりたいのかテメェは?!』

窓枠にちょこんと器用にしゃがみ込むエースは柔らかな笑顔で再度軽口を叩く

『だ〜か〜ら〜他の海軍の奴らに捕まる前にアンタが俺を捕まえてくれよ?』

そんな事が出来ればどれだけ悩まないで済むのだろう…ずっと2人…この部屋で…その太陽の様な笑顔と寄り添って居られたなら…

スモーカーは自分の内に秘めるエースへの欲を圧し殺しながらもその肌に触れたくて何時も困惑する

『俺以外の輩にお前を捕まらせてたまるか!』
逢い引きの度に過去何度そう口から言葉が出そうになっただろうか?

エースにだって解っている…己が海賊ならそれを追い捕まえるのが海軍だ
敵対する立場の違い…互いに高みを目指し昇れば昇る程に遠退く2人の距離…
抗えない現実の中、それでも互いを求めスモーカーと同じ空間に居れる事を切に願っているのだ

『…馬鹿を云うな…』

眉間にシワを寄せ自分を見つめて来るスモーカーの眼差しに、エースはゆっくりと側に歩み寄った

『スモーカーさん…』
『…お前は本当に大馬鹿だ…逃してやれなくなっちまうだろう…海軍からも…俺からも』

瞬間…
2人はどちらとも無く抱き合いキスをしていた


―続く―



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あきゅろす。
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