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副シャン



外は春の陽射しのお陰で暖かくなったとはいえまだ夜も更けると寒気の名残がちらほら窓の隙間を縫って入ってくる

エースを早く熱から解放し楽にして欲しいルフィはあれから暫く嗚咽洩らしながら兄の回復をただ一重に祈って泣いていた




…キィー…パタン…


扉の開く音が聞こえルフィがハッとその方向を見るとシャンクスとベンの2人が入って来た

『ルフィ…エースはどうだ?』
『シャ?!…ジャングス〜!!』
ルフィは突然シャンクス達の方迄ぶつかる位勢いよく走って行き抱きついた
まるで記憶の奥底に密かに残る逞しく優しい父親にすがり付く様に

『シャ…ク…ヒッグ…兄ちゃ…がぁ!ヒック…兄ちゃん…スンゲー…熱ぢぃ…だ!ヒッグ』
『そっか…でも大丈夫だぞ♪ちゃんとエースが元気になる薬持って来たからな♪』
『本当か?!』
『あぁ♪大丈夫だ!』

不安そうに自分を見上げるその小さき瞳を強く抱きしめ安心させる為にシャンクスは頭をクシャクシャ撫でてやる

『副ちゃん悪りぃ、この薬煎じてやってくんねぇか♪』
『あぁ…今用意してくる』
そう言うとベンは隣の台所に向かい薬の準備を始めた



――――――――――


『ほらルフィ、この薬を飲ませてやれ』
『う…うん』
ベンがエースの身体を少し起こして支え、ルフィは兄の口に特効薬を少しづつ流し込んだ
『これで兄ちゃん良くなんだよな?!』
『あぁ!もぅ心配しなくて大丈夫だ!』

『俺……』
ルフィはうつ向いたままベッドの横に立ち尽くしている
『どうしたルフィ?』
ベンの問いに横に居たシャンクスが首を降った…
ルフィは手をきつく握りしめたままボソりと口を開いた…






『俺…何も…出来なかったんだ…』


続く



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