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いとしのあなた:大人のレッスン編※R15



「ティア……その、もう少しリラックスして」
「は、はいっ」
「いや、だから……」
 ベッドの上に正座をするガチガチに固まったティアファナに苦笑してしまう。
微笑ましいと言ったら流石に拗ねてしまうだろうか。
けれど徐々にだらけていく自分の表情が止められない。
ティアファナの緊張が移ったかのように自分の鼓動も高鳴っていく、だがそれすら何故か心地いい。
 そっとベッドの端に腰を下ろし、強張ったティアファナの頬に指を滑らせた。
滑らかな感触を指先で楽しむと、震える瞳が俺を捉えて切なげな表情で見上げられる。
何かを告げようと開かれる前に薔薇色の唇に自分のそれを押し付けた。
ぴくりと反応して少し力の入った唇を解すように柔らかく食む。
何度も角度を変えて唇を擦り付けては食んで吸う、呼吸すらままならなくなって喘ぐように開かれた唇の誘惑のままそこに舌を捻じ込ませた。
「んっ」
 もう何度もこうして深いキスはしているのに慣れる気配は一向にない。
時にはティアファナから求めさえもする、それでも俺から与えられる刺激にはいつだって初めてのように。
新雪に足跡を付けるような、子供っぽい歓喜がいつだって込み上げるのは俺も同じ事だ。
飽きもせず舌で口内の柔らかさを確かめて、舌を絡め吸い上げて零れる吐息も余すところなく味わう。
ティアファナの頬を両手で捕まえて、もっと深くまで。
「あ、んぅ」
 自分から溢れるのと流される唾液を飲み込むティアファナの喉の音に誘われ、唇と舌を顎から首筋へと滑らせて喉に食らい付く。
仰け反ったそこの骨の形まで確かめる如く舌を這わせて、手を頬から肩へと下ろし細い腰を閉じ込めるように抱き締めた。
このまま食べてしまいたい、そんな冗談ともつかない欲望が脳裏を過ぎる。
けれどずっと味わっていたい、欲望を止めるのがこんな欲望などとは笑えた。
 喉を食んでいた唇を鎖骨に落してちゅっと音を立てて吸い付く。
力が入った鎖骨が益々綺麗に浮き上がって、右の根元に軽く歯を立てた。
「ぃ……っ」
 ティアファナの体が大きく震えたのに俺は顔を上げてピンクに染まった顔を覗き込む。
「痛かった?」
 するとティアファナは困ったように小さく首を振る。
それに気をよくして、というより調子に乗って、再び鎖骨に歯を立てては宥めるようにそこを舐める。
上から降って来る吐息は徐々に荒く、そして甘くなっていく。
それがぞくりと俺の官能さえも震わせ煽った。
 少しずつ少しずつ唇を下へ移動させて、ふんわりとした柔らかな感触に辿り着くと、その境目を舌でなぞる。
腰から片手を上に這わせ胸元のリボンを解く、柔らかい布地は肌を滑るように両脇へ落ちた。
晒された素肌にティアファナはベッドの上に貼り付けていた両手をぎゅっと握る。
胸の真ん中へと感触を味わえば、どきどきと高鳴る鼓動が舌にも伝わって来た。
 少し起き上がってぎゅっと目を閉じているティアファナの髪を梳き、震える手を取ってその甲へ口付ける。
「ティア、怖いか?」
「は、恥しい……の、です」
 言うなりティアファナの頬が更に羞恥で赤く染まる。
 ――それが可愛くて、堪らなかった。
「きゃ、ぁっ」
 なんて己の体は正直なんだろうと思うほど、ティアファナの胸に無意識に触れた手はゆっくりとその柔らかさを堪能する。
両手に少し力を入れただけで指が沈み込む胸は、しかし少しでも力を抜けば俺の指を押し返すほどの弾力があった。
そのままゆっくりと力を抜いてそのまま肌を指先で撫でると吸い付く感触だ。
触れ方一つでこうも感触が変わる肌は初めての事で、湧き上がる欲望と好奇心が抑え切れない。
 少し力を入れて持ち上げるようにするとまだ淡い色の頂がぴんと存在を主張した。
その恐ろしいほどの誘惑に抗いもせず俺は唇を寄せ舌を伸ばす。
「ああっあ、きゃ、ぁんっ」
 ぞくぞくと粟立つティアファナの肌がその快感を教えてくれる。
身を捩り逃げようとするのを許さず、片腕で腰を捉え、もっと強く口に含んだ頂を吸い上げた。
すっかり硬くなったそこを舌で様々な角度に転がし、感触を舌で味わい堪能する。
「は、あ……はぁっ」
 必死に呼吸を繰り返す様が酷く愛しくて、けれどもっと追い詰めてやりたいという嗜虐的な気分に陥った。
もっともっと俺の全てで様々な姿を引き出して見たい、乱れ喘ぎ悶える様を見たい、感じたい。
その欲望のまま、ティアファナを深く抱き込み全身を摺り寄せる。
行き場をなくした彼女の細い足が躊躇いながら俺の足に絡められただけでぞくりと体の芯が震えた。
「ティア」
 まるで自分のものとも思えない、欲情に塗れた擦れた声。
ぴくりと体を震わせうっすらとティアファナが瞼を上げるその様が、平伏したくなるほどに艶めかしい。
上体を起こし軽いキスで伺いを立てれば、了解を示してティアファナの唇が薄く開かれる。
許しのままに唇を重ね舌を絡め合った。
零れる吐息も奪い尽くし、止めていた手を再び動かして少し強く胸を揉む。
「あ、あ、ん」
 唇の隙間で途切れ途切れに喘ぐティアファナに複雑な気持ちが交差した。
もっとその声を聞きたい、けれどその唇をずっと味わって塞いでいたい。
指をずらして両方の頂を指で摘み上げ、大きく跳ねたティアファナの唇を深く口付けて塞ぐ。
口内に響く嬌声が自分の中に入って行くかと思うとそれだけで己の昂ぶりを感じた。
 指先で頂を転がして押し潰したり摘み上げたりを繰り返すと、大きく身を捩ったティアファナが俺の唇から逃れて声と共に大きく息を吐き出す。
「ああぁっ、ゃ……あっ」
「嫌?」
「う、ぅん」
「ん?」
 促すように頬に口付けると、とろりと熱に浮かされた瞳が俺を射抜く。
「ゃじゃ、ない、です」
 最早だらしくなく緩みまくった表情がその瞳に写っても構わなかった。
愛しくて、頭が沸騰しそうだ。
「じゃあ、気持ちいい?」
「わ、かんな……きゃうっ」
 指で頂を強く擦り転がせばびくびくとティアファナの体が跳ねる。
そっと耳に唇を寄せて「どう?」と囁けば困ったような瞳がこちらを見た。
もっと困らせてみたくなって小さな耳に舌を伸ばし中を掻き回す。
ふるふるとティアファナの体が震えて、俺の舌から逃れるべく顔ごとこちらを向いた。
「ほんとにっわからないんです……」
 泣きそうな表情に少しばかりの罪悪感を覚えて謝罪の代わりに優しく唇に口付けた。
「今どんな気分だ?」
 同じだけゆっくり優しく胸を再び揉むとティアファナの唇から甘い吐息が吐き出される。
「熱くて……そ、そこ……ひっ」
 摘んだそこを口に含むとティアファナが喉を仰け反らせて息を飲む。
俺のする事一つに大きな反応を示すティアファナが可愛くて堪らない。
「んぁっ、はぁはぁ、ん、あ」
「ティア、言ってご覧」
 呼吸もままならない妻に意地が悪いと己を律する余裕もなく、再び耳へと舌を差し込んで弄り回す。
こちらの呼吸も知らず荒くなって、二人の湿った呼吸に空気さえも白く濁りそうだった。
「むずむず、して、融けそぉ……です」
 熱い息を大きく吐き出したティアファナが助けを求めてか俺に腕を伸ばす。
それを受け止め深く抱き込んで、強く唇を重ねた。
「それが気持ちいいという事だよ。少しずつでいい、ちゃんと覚えるんだ」
「あっん、んんっ、ケニ、ケニス……ッ」
「俺に可愛がられて、気持ちいいって。俺に愛されるのが気持ちいいと、全部で覚えるんだよ」
「ぁ……は、い」
 こくんと頷いた可愛らしさに誘われ、俺は心行くまでティアファナの胸を可愛がり愛した。




「暑い?顔が真っ赤だ。ほら、飲んで……それとも飲ませる?」
「いいいいいいですっ、自分で飲みますっ」
「それは残念」
 くすくすと笑う俺を隣で水を飲みながら少々恨めしげにティアファナが見上げて来る。
「な、なんか意地悪ですっ」
「そんな事はないだろう?」
「でも」
 消え行きそうなティアファナの呟きに思わず俯いた顔を覗き込む。
「……大好きです」
 ――例えばきっと、俺がどんなに君を翻弄したとしても、その一言には勝てやしないんだろうな。




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