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F.A
冷静と情熱のあいだ ― nero ― / 6
ふたりで描いた

二番目の"罪"



錬成陣を描いたのは、玄関を入って直ぐの部屋。
錬成陣を中央にアルフォンスが、
玄関を背にする形でエドワードが立った。

体全体を錬成するということでアルフォンスが陣の中央にいる必要がどうしてもあるというエドワードの主張で賢者の石はエドワードが持った。

強くなる風の音をなんともなく聴きながら、ふたりは視線を合わせた。

お互い、ふっと目を緩めた。僕には目に見える瞳は無かったけれど。



「いいか、アル。ぜったい帰ってくるんだ」

「うん!二人で」

「ああ。当然じゃん!!」

そして、二人で、錬成陣に手を突いた。




「……それから、」
アルフォンスの伏せ気味な瞳が虚空を探る。

「それからのことは、僕には分からない。手を突いて、錬成光が目を灼いて……姉さんは見えなくなった。

……僕にわかるのはそこまで。」

アルフォンスは俯いていた顔を上げてウィンリィとピナコに向き直った。

その瞳からは様々な色が見える。 哀しみと寂しさと―――

「…あの《黒》は、」

唇が震える。

「あの錬成陣に残っていた《黒》は、血……?」

「……わからん。ここにはそれを確証立てるものが何も無い。
この手に強い人間に頼むしかないだろう」
医者じゃ専門外だとピナコが細い目を歪めて答えた。


「……ねえ」

ウィンリィが口を開く。
「マスタング大佐達に頼んでみたら?
直接調べてもらえなくても、適任の人を紹介してもらえるかもしれないじゃない」

門前払いされるとは思えないし、とウィンリィアルフォンスを見据える。

「…でもこの事が公になるのはまずいよ。僕は軍の施設には入れないし。
軍の連絡先なんかは姉さん、絶対教えてくれなかったし……」

今まで鎧姿だったから、ますます怪しまれて、万が一ばれたらと言葉を詰まらせる。


「知らせる気があるならだいじょうぶ。私にいい考えがあるわ。」

 まだ、貴方に歩く気があるのなら

ウィンリィの瞳の光はアルフォンスにエドワードの瞳を思い起こさせた。
強くて、哀しくて、――――― やさしい光。




大丈夫。
自分に言い聞かせる。


大丈夫。
まだ、がんばる。


「ウィンリィ、お願い」


瞬きのあと、意思の光がその瞳に宿った。



*****
今はアルフォンスが動き出します。

2006.01.01

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