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F.A Halloween '06 そろそろ本格的な秋が始まろうとしている９月の終わり。 街中にかぼちゃが溢れている。 くり抜かれた三角になみなみ模様。 期間限定で見かけるそれらは、ひょうきんさも手伝ってか結構好きだったりする。 従って、この季節も嫌いじゃない。 機械鎧に大敵な暑さも和らぐし、辛い寒さもまだ来ない。 きっと中尉が用意してくれてるお菓子はおいしいんだろーなｖ ―――― ってハズだったんだけど、ちょっと事件発生？ 「ちわーー！大佐、trick or treat！」 「……鋼の。いい加減ノックしてくれたまえ。 ―――― で、何だね？」 「ハロウィーンに決まってんじゃん！中尉はちゃんとくれたぜ？ホラ！」 エドワードが差し出した手のひらの上には、丁寧にラッピングされた手作りらしきクッキーが載っていた。恐らく、この兄弟に甘い中尉が作ったのだろう。 「悪いが、お菓子は何も用意しておらんよ。諦めたまえ」 「えーーー！！！じゃあ、しゃーないな。」 「何がしょうがないのかね？」 「え？だって、お菓子くれないのなら悪戯しなくちゃだろ？」 そうきたか…と考えているロイの横でエドワードは楽しげに悪戯の内容を考えているようだ。 「うーん。何がいいかなぁ…。なあ、大佐の苦手なもんってなに？？」 「本人の目の前で言うかね？……書類かな。」 「そりゃ見てりゃわかる。でもさぁ、書類に悪戯するとお菓子くれた中尉にもメイワクかかるから、それじゃあ、ルール違反じゃん！！他はねーの？」 「だから本人を目の前にしてそれを言うかね？ わざわざ自分の弱点を言う奴などおらんよ」 聡明な君ならそんな事は愚問だろう？というと、エドワードはつまらないというムーとした態度で、執務机に肘をつく。 手の上に膨らんだ頬がのっていて、小さめだが形のいい唇がとがっている。加えて、元々整った容姿で… ……可愛い。 そんな事を考えていると、ロイの頭にひとつの案が浮かんだ。どっちに転んでもオイシイ話。あくまでロイにとっては、だが。 「苦手なもの……あるぞ。」 「え！？マジで？？教えて教えて！！！」 「ああ、それは……」 ガッターン！！！！ 「この給料泥棒！！ロリコン！！！変態！！！！」 バタンッッ！！！ 乱暴に閉められたドアの音（それと物騒な事実の羅列）が廊下中の人間の注目を集めたが、エドワードは大声で何かを喚きながら、ズンズンと司令部を出て行った。 作業室の窓から門を出るエドワードを見送っていたハボックは、大佐ぁ、と書類片手にロイの執務室に入った。 「何したんすか？」 見ればロイの右頬に手形がバッチリである。あのエドワードの様子だと、右手の機械鎧でやられなかっただけマシと見るべきだろうか。 「何を言う。私は苦手なものを正直に言っただけだぞ。」 「へ〜。俺もぜひ聞きたいっすね。大佐の苦手な物。…あ、中尉ってのはナシですからね」 「当たり前だ。そんなオソロシイ…もとい、失礼な事は言わん。」 バッチリ言っちゃってんじゃんという突っ込みは心の中にしまっておいて先を急かす。 「で、なんて言ったんすか？」 「男からのキス、と答えたのさ」 どうだ、正直だろうと胸を張る上官に呆れてくる。そりゃあ、心底。 「…それで、大将からのキスは貰えましたか？」 「それが、『悪戯する』と意気込んでいたのに、帰ってしまったよ」 肩をあげて残念だというジェスチャーを取っているが、ジェスチャーじゃない。かなり本気だ。 この様子なら万が一、エドワードがキスしてきたらそのままコトに及ぶ位はしそうだ。悪戯する子にはお仕置きが必要だ、とか言って。…ハマりすぎて笑えない。 「そりゃそうでしょ。どっかからどう見たって大将にとっては罠じゃないっすか」 「だから言ったのさ」 ロイがエドワードに熱を上げている。モトイ、付き纏っていることは東方司令部で知らないものは稀だろう。あの手この手で迫っているが中々落とせないでいることも。 「でも、大将めっちゃ怒ってましたよ？しばらく来てくれなくなるんじゃ…」 ロイがへこむのは、一向に構わないけれど、仕事が停滞するのは勘弁願いたい。それは部下一同の願いだ。 「大丈夫だ。ちゃんと戻ってくるさ」 その言葉は厭味なほど自信たっぷりだ。 「何でっすか？」 「簡単だ。鋼のは報告書を出していないからな。また来ざるを得ないさ」 その顔はまさにニヤリと云った感じだった。（ハボック談） その後、エドワードは報告書を出しに来たかは別のお話。 ***** Halloween話です。間に合うように必死でした。 下書きなし(爆死) 結果すっごい変な馬鹿話になってしまいました…凹 2006/10/27 ［前へ］［次へ］  |