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F.A
紅茶8
「―― それで、鋼の。今回はどうだったかね?」
「ああ、どっかの有能な情報提供者サマのおかげで、全く、全ッ然、関係の無い面倒ごとに関わる羽目になりましたよ。さすが、切れ者の大佐殿は違いますね」
「……… 新手の嫌がらせかね?」
「行儀よくしろって言ったの何処のダレよ?」
「そうか。では今度からはノックが鳴らなければ安心して女性を連れ込めるね」

「―――」





「―― そうですか。そんな時間がお在りとは存じませんでした。」

扉が開く音と共に声がした。 ―― 中尉だ。
気のせいか部屋の温度が下がった気がする…ついでに後ろの大佐が怯えたような気も。


「大佐のお仕事が少しでも減るようにと調整しても仕事の量が多くて申し訳ないと思っていましたが……それなら遠慮はいりませんね。私の仕事も減って助かります。」
「……ちゅ、ちゅうい」
「丁度、仕上げていただきたい書類がございますので、持ってまいりますね。」
「あ、あの〜」

薄い書類を持っていたホークアイが片手を上げ、指をパチンと鳴らすと、何処に控えていたのだろうか、大勢の下仕官達が両手一杯の書類を持ってくる。



(…さすが、影の司令官)



その統率力は見事と言うほか無い。
ハボック達の話は全く脚色ゼロ、ということだろう。


「エドワード君。こんな人放って置いて、みんなで一緒にお茶しましょう?おいしいクッキーがあるのよv」

大佐に向けていたのが絶対零度の微笑だとすると、さしずめ自分に向けられる今の表情は春のこもれびだ。

後はみんなに任せましょう、と自分が持ってきた書類を下仕官の一人に渡して執務机の一角に積ませると、ホークアイはエドワードの手に差し出した。
あれよあれよと云う間に書類に埋まっていくロイを少々哀れに、しかし自業自得に思いながらホークアイに手を握られてエドワードは部屋を出たのだった。












ホークアイと一緒に司令室に戻る途中、なぜかうすぼんやりと考えていた。

咄嗟に答えられなかったのは何でだろう?
胸に痛みが走ったように感じたのは?

このところの不摂生が祟ったんだろうか、こっそりため息をつくエドワードだった。







 *****

私はホークアイ最強論賛同者です(笑

この話、実は、買ったプリンス・オブ・ウェールズが思ったより口にあわなかったという実話をモデルに書き始めたので、短い話のつもりでした。
短い話のはずだったのに、書いてる内に段々ノッテきて、どんどん伸びる伸びる(爆笑

2006/09/22


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あきゅろす。
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