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F.A
紅茶4
「――――ッ 間に合ったぁ!!」


薬屋を出て駅に着いたときにはまだ余裕があったのだが、食事がないことに気づいたためにダッシュで売店まで走る羽目になり、結局、汽車が出るぎりぎりの時間になってしまったのだ。おかげで、アルフォンスはともかく、エドワードは肩で息をする有様だ。




「だから早くしなって言ったのに」
「う、うるさいな!」
どかどかと空いている席を探してやっと腰掛けて一息つくと、エドワードは早速全速力で走る羽目になった元凶になった紙袋を開いた。

鼻をくすぐる香ばしくて甘い香りがほんのりとした蒸気とともに紙袋から立ち上る。

さっき、お茶の席で店主が言っていたおいしいというパンがどうしても食べたくて、走って店まで行ったのはよかったし、店もすぐに見つかった。

しかし、
店の中にあるありとあらゆるパンに散々迷ったせいで危うく汽車に乗りそびれそうになったのだ。
普段にないくらい散々迷うエドワードに途中からアルフォンスは呆れ顔だった。(と思う)


言い訳と少しの反省を頭の中で反芻しながら、一口パンをかじる。
「―――――ん〜〜!!!うまい!!!!!」

さっきまでの反省をものともせず、最終的にほぼ全種類のパンをトレーに載せたエドワードが「うまい」と連発しながら、抱えるほどだった紙袋の中身を平らげたのを見て、
今度こそアルフォンスは本気であきれたのだった。





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2006/07/14


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