長い読み物 序章 『おい、バハムート』 『なんだぁ?イグニール』 高温と闇が包むこの空間に竜が2匹。 真っ赤な翼に口から漏れでる炎。彼の名はイグニール。 一方で真っ黒な鱗に覆われている体に、角から出る闇のオーラ。彼はバハムートと言う。 『お前さんのとこの子は無事育ってるか?』 『勿論だ。…しかし、お前の言う通り、自分の育て子というのは凄く可愛いなぁ』 バハムートは思い切り顔を破錠させて、照れたように手で顔を覆う。 『お前なぁ…それは人間の言葉で親バカって言うんだぜ?』 やれやれと首を振りながらジト目でバハムートをみるイグニール。 『親バカで結構。、さて、そろそろあの子が寂しがる時間だ。帰るとするよ。』 『…あまり入れ込み過ぎるなよ?別れが辛くなるからな。』 『その言葉、そっくりそのままお前に返すぜ。』 これはしまったと言わんばかりに目を見開くイグニール。 その顔に満足したバハムートは闇の中に溶けて帰って行った。 『……ま、そうだな。…俺もナツのところに帰るか』 可愛い息子のことを思い出してほほ笑みを浮かべると、イグニールもまた、近くのマグマ溜まりに溶けて消えていった。 ーーーーー 『ナナシ〜……あ?』 無人になっていた巣を見たバハムートが悲鳴をあげるまであと… [次ページへ#] |