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長い読み物
手厳しい



後日、チュートリアルの続きが始まった。

最初にやったのは、戦いについてのチュートリアルだったが…

こんのすけは鬼畜だ。

初めての戦闘で敗北させるなんて。

ほんっっっとーーに大怪我をした山姥切を見た瞬間は肝が冷えたよ。


「………………」

無言でこんのすけを見つめる。

「う、申し訳ありません。こういうチュートリアルなのです。これをすることによって、戦闘の怖さと手入れを同時に学ぶことができます。」

不服ではあるが、今はこの山姥切をどうにかしないと……

「っい…!」

肩を貸して歩き出すと、隣から痛そうな声が聞こえた。
ちょっと、ほんと、人の傷とか見ると私まで痛くなってくるんでやめて欲しい…

てかこの大怪我でよく歩けるよ。刀剣男士って頑丈にできてるとは聞いたけれどここまでとは。



ーーー



「ここが手入れ部屋となります。」

彼をとりあえず横たわらせておく。

「刀剣男士は刀の付喪神です。なので本体の刀を手入れすれば、彼の傷も治ります。」

言われた通りに刀の手入れをしていると、山姥切が目を覚ます。

「……このまま、朽ち果ててしまっても構わなかったんだがな…」

「!!!」

なぁんてことを言うんだ!?

こっちは死ぬほど心配したというのに!?!?

あ、いや…まぁ…それを伝える手段は無いんだけども…

「…」

刀のヒビの部分にぽんぽんを思いっきり叩きつける。
山姥切が顔を顰めるが、まさにその反応が見たかった。
誰だって痛いのは嫌だろう?それなのに自ら死んでもよかったなんて、

ああ、ほんと、これを伝える喉が今は使い物になってない。

「…あの、主、痛い…」

「審神者様!手入れはもう少し丁寧に、ですよ!」

こんのすけや刀剣男士に感情を共有する装置があればいいのになぁ




ーーーーー




あれから色々教えてもらった。

新しい刀を鍛刀したり、刀装?という装備品を作ったり、内番について説明されたり…

思い返して疲れたように目を細めると

「主様…その、声はどうしたの?」

先ほど鍛刀所から出てきた小夜左文字くんが話しかけてきた。

声かぁ…それを説明するにも声を出さなくちゃいけないしな…

「俺が顕現した時からずっと声を出してないんだ。病気か?」

小夜くんの隣にいた山姥切にも声をかけられる。
否定の意を込めて首を振る

「では何故…」

これも分からないの意を込めて肩を竦める。

こっちだって気づいた時にはもう声が出なくなってたんだい…

思いっきり息を吸って言葉を出そうとしても

「…っ、ふーーーー……」

なんてこったい。息しか漏れないや。
…あ、そういえばそろそろご飯の時間だったっけな…
この子達ってお腹空くのかな?今は人の形だけど元は刀の付喪神なわけだし…

まぁ、とりあえず3人分、作っとこかな。

「…(まぁ、初日だし、簡単なものでいいよね。)」

よいしょ、と声は出ていないもの、重く腰をあげる。

「…(あー…でもこのまま行ったらまた着いてこられるか…向こうとしても私が何するのかは知っておきたいんだろうし…)」

というか、私が立った時に彼らも立ち上がったからついてくる気は満々なんだろう。

紙もペンもないし…声も出ない。ましてや、ジェスチャーとか…ご飯を作るんだよっていうジェスチャーってどうやるんですか…

…あ、そうだ。

私は山姥切の何も付けてない左手を手に取った。

「(小夜くんでも良かったけど手が小さいからね…)」

手を取られた等の本人は首を傾げている。

私は山姥切の大きな掌に

「(ご…は…ん…っと)」

わかりやすく“ごはん”と書いた。
これで伝わればいいんだけど…

「…作りに行くのか?」

よっし!!!伝わった!!さすが私の初期刀!!

これでもかと言うぐらいに首を振ると山姥切と小夜くんは目を見合わせた。

「(君たちアイコンタクトで意思疎通出来るのなにそれすごい)」


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あきゅろす。
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