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エシホ学園の日常
日本風の服
「「ふぁ〜・・・・・・・・・」」


キャリンとレムは物珍し気に目をぱちくりさせながら、辺りを見回す。

大量に行き交う人々。
大量のビル群。
そして、ガラス張りの大きな駅。

想像と全く違うと二人は周辺を見る。京都と言えば、もっとこう古びた家や和服等を思い浮かべていたお嬢様方は期待を裏切られた気持ちに襲われる。
「それではこちらですよ。」
それに対し、花凛は二人の反応に全く気付かず全く気にせずにキャリンお嬢様一行、レムお嬢様一行そして優お嬢様一行を先導する。


一行がいる場所は・・・・・・京都。そして、今日はゴールデンウィーク一日目である。

ゴールデンウィーク初日の前日に無事、回答から外出許可証を貰ったキャリンお嬢様一行は他の人達と合流。その後は門の所で真魔にそれを提示し、エシホ学園を後にしたのだ。
・・・・・・いつもと違う服装で。


花凛は一行に゛迎えが来ますので″と駅前の道路の端で待つ事になる。
この時、レムはキャリンをチラチラと羨ましそうに見る。なぜなら、相手の服装に嫉妬しているからだ。キャリンお嬢様一行の服装は・・・・・・一言で言えば『和』であるからだ。

キャリンの服装はいつもと比べるとおとしやか・・・服はドレスではなく着物。濃いピンク色の帯で締めた、桃色で桜の刺繍をされた色鮮やかなものである。髪も後ろで結っていて、見た目はすっかり昔風の日本人であった。
メイサもまたいつものメイド服ではなく着物。白い帯で締めた、少し濃い茶色に『庭石菖』という薄紫色をした花を刺繍したもの。頭にはメイドカチューシャを被ってはおらず、明るく綺麗な色をした髪全体を露にしていた。
そして、駸邪は・・・・・・一言で言えば、『大正』である。なぜなら、黒い帯で締めた、同じ色の着物。かなりシンプルであるが、主やメイドと比べるとかなり地味であると同時に今の日本ではあまり見られない服装で現代の人から見れば゛昔の人?″と思われるぐらい・・・目立たない。

そんな一行の服装を見たレムはまじまじと自分と従者の服を見る。
彼女達もまた、ドレスやメイド服等ではなく他のもの・・・・・・現代風の服装である。

レムは濃い赤いスカートに白いYシャツ。
麗香は黒に近い紅のジーンズに薔薇のような色のTシャツ。
龍虹は全身真っ黒のスーツである。

一人はかなり浮いている服装だが、レムは外に出るからと従者に普通の服を着るよう命令し自分もそれをする。結果、傍目から見たらどこにでもいるような小さい子とその姉と付き添いのような構成になったが、現代の日本人から見たら変ではない。
だが・・・レムは今、後悔していた。今回、向かう場所は京都。少なくとも、着物姿で歩いていてもおかしくない所。せっかく、そういう場所に行くのだから、もう少し日本風の服装にすれば良かったと思うのだ。

一方、キャリンはせっかく京都に行くのだからと執事に日本風の服を用意しなさいと命令し、駸邪はそれを全うするために先生方に協力を仰ぎながら、遂行する。そして、和服を用意した結果、気に入られるわけだが、ここで問題発生。それはキャリンの一言であった。


゛駸邪とメイサの服はどんな感じですの?″


当初、駸邪はキャリンの分だけ用意すればいいと考えていたので全く気にしていなかった。だが、質問からして゛当然、用意したわよね?″という含みが込められているようにも聞こえる。
それから判断して、ここで用意していないと言えば、怒られるのは火を見るより明らか。そこで駸邪は主の気分を害さないよう゛用意に手間がかかっている″と言い、それでキャリンは納得。その後は急いで自分たちの分も用意したのだ。
ちなみに、駸邪だけ地味な理由は彼は元々和服を着る気などさらさらなかったからだ。その結果、服も自分の好きな色で統一。簡単に仕上がったというわけだ。


そんなキャリン一行とレム一行に対し、後の三人は・・・・・・花凛はキャリン達の服装を見てよくお似合いだと思い、優達はこれから行く家に期待を寄せながら・・・四組は迎えの車を待つのであった。



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