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エシホ学園の日常
お誘い
「・・・そうですね。」
駸邪は無表情でそう言いながら、どこにするか素早く考える。なぜなら、ここですぐに答えられなければ執事失格と彼は教えられたからだ。だから、駸邪は頭にポンと思い浮かんだ風景を口にする。
「・・・京都にしようかと・・・考えています・・・。」
「京都・・・ですか?」
そう答えられた花凛は首を傾げながらも目を明るくキラキラさせながら復唱する。
「・・・はい。・・・ちょうど・・・キャリンお嬢様に・・・日本文化に・・・触れて頂こうと・・・思いましたので・・・。」
「それはいいですね。京都は昔ながらの建物が多いですし・・・やはり、ゴールデンウィークを利用されて行かれるのですか?」
「・・・はい。・・・春や秋の方が・・・より楽しむ事は・・・できますが・・・なにぶん・・・時間がありませんので・・・。」
駸邪はそう言いながら、チラリとキャリンを見る。表情は無く、二人の会話を聞いている様子・・・駸邪はそれを見て、今の自分の発言に不機嫌(特に一番楽しめる時期)要素がなかった事に安堵する。すると、花凛がまた質問してくる。
「泊まる場所はもう決まっているのですか?」
「・・・いえ・・・本日決まった事なので・・・これからです・・・。」
「では、よろしければ私の家にご招待しますよ?」
そう言われた駸邪は一瞬目を丸くするが、すぐに無表情に戻し一歩後ろに下がる。そこにキャリンが来て、すました表情で口を開く。
「あら、よろしいんですの?」
「はい。少々狭い所ですが、よろしければご招待します。家の者にはゴールデンウィーク中に学園のご友人を招くという事を伝えるので、どうですか?」
花凛はニッコリとした顔でそう聞くと、キャリンはそれにニヤリと嬉しそうな表情になる。
「それでは、お願いしますわ。早乙女家にご招待されるのは光栄でございますわね。」
「いえ、私の家はそんな大層なお家ではありませんよ。」
花凛がそう謙虚に笑顔でそう言うと、下から声をかけられる。
「ねぇ、私もいいかしら?」
レムが無表情で花凛を見上げながら聞く。どうやら、彼女も行きたいようだ。
「えぇ、いいですよ。レムさんもご招待します。優さんはゴールデンウィークはいかがされますか?」
突然そう聞かれた優は少し焦りながら、拓人を一度見る。だが、彼は゛俺に聞かれても″と分かる表情をしていた為、彼女はすぐに花凛の方を向き、少しはにかんで嬉しそうに答える。
「わ、私はゴールデンウィークにこれといった用事はないから私も行っていいかな?」
「えぇ、いいですよ。」
花凛はその場にいる人達の顔を一人一人見た後、裾で顔下半分隠しクスリと笑う。


「ゴールデンウィークは賑やかで楽しい事になりますね。」



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あきゅろす。
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