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エシホ学園の日常
ジャパニーズティー
「本日もありがとうございました、ボーン先生。」
生徒会長が微笑みながら一礼するとフェネの執事とメイドそしてキャリン、レムお嬢様一行も彼女に習って一礼する。
それを見たデルイは゛それでは、明日もヨロシクね″と言って立ち去る。


「そういえば、ゴイルさんとヘマトさんは芸術祭に何を皆様に披露するか、お決まりになったのですか?」
使用人達に美術道具を持たせ、前を歩いているフェネとキャリンとレム。すると生徒会長が今日、委員会の集まりの時に言った『エシホ芸術祭』の話題を二人に振る。
「わたくしの所はもちろん『絵』を皆様に披露いたしますわ。」
「私も『絵』にする予定よ。フェネ生徒会長も『絵』にする予定なの?」
「えぇ、私はそれしか取り柄がありませんから・・・。」
「それでも、フェネ生徒会長の絵は素晴らしいですからわたくし楽しみにしていますわ。」
フェネが謙虚な態度を取ると、キャリンがそんなことはないと言わんばかりにニッコリとした表情で彼女の絵を期待する。それに対して、生徒会長はありがとうと微笑みながら返すが、その姿はどことなく寂しそうな雰囲気を感じさせる。
その様子に気付いたレムはどう声をかけたらいいか考えながら、誰もいない右横を見ると何か興味を引くものがあったのか目を見開きながら二人に質問する。
「ねえねえ、あれは何かしら?」
声をかけられた二人もレムが指差した方向を見ると、生い茂る木々の奥になにやら四角い赤い布を地面に敷き、その上に赤の唐傘を差し、その下で着物を着た女性三人が座っていた。一人は釜のようなものの近くにいて、二人は茶碗を持ちながら。
「あぁ、あれは『茶道』の授業ですね。」
「「サドウ?」」
フェネが言った言葉に二人は聞いたことがないのか怪訝な表情で呟く。
「えぇ、ヨーロッパでは゛ジャパニーズティー″として紹介されていますが、あれは日本の作法を用いたお茶の飲み方です。」
「あぁ、あれが゛ジャパニーズティー″を飲む正式な方法というものね。」
「苦い飲み物を飲んだ後、甘いお菓子を食べるという・・・。」
フェネの説明に納得したのか、口々にそう言う二人。
それを見た生徒会長はある提案する。
「気になるのでしたら、立ち寄りますか?もう時刻は夕方頃になりますが、まだ終わる様子もありませんし。」
「是非見てみたいですわ。」
キャリンはその提案にすぐに賛同し、それに遅れてレムも゛そうね。興味があるわ″と賛成する。
二人の返答を受けたフェネは、それではと彼女を先頭にその場所に向かうのであった。



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