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エシホ学園の日常
課外美術
マリーが『戦闘』を行う場所に着いた頃、キャリン達はというと・・・








◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆









「調子はどうですか、ゴイルさん?」
セミロングの白髪をなびかせ、黒の丸い眼鏡をかけた女性がキャリンの後ろから彼女の描く絵を覗きこむ。
すると、眉間にしわを寄せ始める。
「ゴイルさん、もう少し色を抑えなければ、せっかくの素晴らしい絵がダイナシよ。もう少しリラックスして描かないと。ヘマトさん、あなたもです。」
女性は眼鏡の奥にある黒い瞳でレムを一瞥し、それだけ言うと肩を露出し膝の下まである白いノースリーブを翻し、去っていく。
キャリンは彼女を見送った後、自分が描いている絵・・・・・・木々が描かれている絵を見てため息をつく。
「ふむ、昨日も言われましたから気をつけていますが、なかなか難しいですわね。」
「色が濃すぎるねぇ・・・これ以上、色を薄くしても大丈夫かしら?」
「ふふ・・・二人とも良い色使いをしていますが、もう少し色を抑えれば良い絵が出来上がりますよ?」
「分かりましたわ」「分かったわ」「「フェネ生徒会長。」」
フェネのアドバイスにすぐ肯定する二人。そして、再び絵の製作に取りかかる。

今、彼女達がいる場所は外。学舎から左に位置する森でスケッチした後、色を塗っている最中である。

フェネは二人の絵を見て思う。
色が濃すぎると・・・。
二人の性格を表しているのか、木も地面も空も自分を主張するような色合いの為、お互い喧嘩し合っている状態なのである。だから、絵としてはまだまだ。だが、フェネはまずは描く楽しさから学んだ方が良いのと自分のような実力が不十分の者がアドバイスするのは驕りだと思い、見守っているのである。
「わたくしもフェネ生徒会長のような絵が描ければ・・・。」
「ふふ、私のような絵は努力すれば、二人も直に描けますよ。私もボーン先生からご指導されましたから。」
「前々から思っていましたが、あのティーチャーって絵に関しては有名なの?」
「ボーン先生は絵、彫刻、造形等の芸術の分野を修得した素晴らしい先生です。芸術の道で゛デルイ・ボーン″と聞けば、誰もが知っているぐらいに。」
二人はそれを聞いて、意外そうな顔をする。なぜなら、あの先生は剽軽な人で喋り方が独特だから、本当に凄いのかどうか分からなかったからだ。
だが、フェネ生徒会長が言うのだからと二人は納得し、先ほどの注意を参考に絵を塗り始める。

・・・・・・・・・ちなみに、もう気付いているかもしれないが、近くに彼女達の使用人はいなく、三人のみである。ちなみに、キャリンの執事以外は全員『芸術』の教科を受けている。そして・・・キャリンのメイドであるメイサはというと・・・・・・


「・・・・・・・・・。」
メイサはただ黙って、森の風景を見る。画は白紙のままで彼女としては珍しくニコニコ顔ではなく無表情でずっとずっとずっと・・・・・・。
そんな時にボーン先生が彼女の後ろからやって来る。
デルイはメイサの相変わらずの白紙を見た後、右手で顎を抑え少し考えるような素振りをしてから声をかける。
「ルーンさん。まだ、思い浮かばないんですか?」
声をかけられたメイサはすぐに後ろを向き、にこやかな表情で返事する。
「はい、申し訳ございません。」
「ルーンさん、自分の思うように描けばいいのよ?もっともっと、自分の心をさらけ出すように描くの!」
デルイが両手を広げて、自分の心を解放しているイメージなのか、青空を大袈裟に仰ぎ見る。
それを見たメイサは少し苦笑いした後、善処しますと応える。
デルイは相手の返答が納得出来なかったのか、紅い小さな唇を尖らし、しかめっ面をした後そこを去る。
メイサはそれに一礼した後、再び白紙に向き直る。
スケッチする為の鉛筆を取らずにそのまま・・・



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あきゅろす。
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