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エシホ学園の日常
生き地獄
『1−F』の人数分の用紙の印刷が終えた駸邪はそのまま次の教科『戦闘』を受けるために寮に戻る。そして、用紙を自室に置き執事服から迷彩服に着替え・・・準備を終えたら、授業場所に向かう・・・。


「・・・そういえば、シヴァ。」
「どうした?」
「・・・今度の5月の・・・第三月曜から三日間・・・『エシホ芸術祭』の・・・行事をするの知ってる・・・?」
「エシホ芸術祭?なんだそれ?」
「・・・学園の敷地内で・・・自分の芸術を・・・披露するんだって・・・。・・・内容は・・・自由で・・・武術の演舞も・・・芸術の一つに入るみたい・・・。」
「へぇ、なんだか楽しそうだな。自主参加制か?」
「・・・いや、全員参加。」
「そうか・・・困ったな・・・。俺、披露できる芸術なんてないし・・・。」
「・・・シヴァは・・・武術は習ってないよね・・・?」
「あぁ。習ったのは゛人間を破壊する″事だからな。演舞なんてできないあ、マガジン切れた。駸邪、まだあるか?」
「・・・はい。・・・まぁ・・・そこは・・・桜華達と相談すれば・・・いいんじゃない・・・?」
「そうだな。にしても、あいつ日に日に避けるの上手くなってきたな。」
「・・・当たると痛いからね。」

今、二人は機関銃である『AK-47』を両手で持ち、片膝立ちをしながら狙いを定め、撃つ。休む事なく・・・機関銃特有の銃声を鳴らしながら、次々と次々と・・・。
ちなみに、彼らが狙っているのは・・・


「うわぁぁぁああぁぁああああぁぁ!!!!」


・・・深緑色の迷彩服を着た龍虹。
これは新手のイジメではない。訓練である。その光景は他の人から見れば呆然としてしまうが。
ちなみに、どういう訓練か・・・それは゛実弾を避ける″というものである。今は実弾ではなくプラスチック弾だが、駸邪の言う通り当たるとかなり痛い。

なぜこんな訓練をしているかというと、実弾は普通では目で追える速さではないし、当たればただでは済まない。そういうものである。
しかし、戦場に赴く兵士達はそれを掻い潜りながら、戦わなければならない。
まさに、生きるか死ぬかはその人の運次第である。
だが、弾がくるかどうかの反応は鍛えれば、察知できるようになる。これは、日常で他から視線を感じるとか殺気を感じると同じ原理。理由は分からないけど、弾がくるとわかる。人間の不思議な所の一つである。
だから、その感覚をただいま龍虹は鍛え中である。
・・・先生の指示で。
理由は二つ。


一つはそのまま戦場に行けば、絶対に死ぬ。

そして、もう一つ・・・・・・死ぬ気で走っていない。


死ぬ気で走れば、弾には当たらない。

これは大木の論理である。
なぜ、こんなある意味矛盾した事を言っているかというと・・・大木曰く゛人間、死ぬ気でやれば大丈夫″という事らしい。
斬新な考えだが、彼自身多くの戦場に赴いて、ほくほくと帰ってきているのだから、案外本当かもしれない。
・・・ちなみに、龍虹は半信半疑だが二人はこれを信じている。
シヴァは戦場で、駸邪はダン・ノール将軍の修行の下で・・・。
やはり、実体験者は普通の人との感覚が少しずれるらしい。

そして、この訓練は・・・・・・マリーが『裁縫』の教科を終えて、来るまでずっとである。
まさに、龍虹にとってこれは生き地獄であった・・・。



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