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エシホ学園の日常
抱きつき
その女性は駸邪に向かって走り出す。その顔を歓喜に満ち溢れさせながら・・・。
対して、駸邪はかなり嫌そうな顔をする。いつも無表情である彼にとって、かなり珍しい反応である。そして、駸邪は一度逃げようと後退りをするが、冷静に相手がこれから通ろうとする軌道線上を見る。そこにはレム・ヘマトお嬢様一行がいる。

(・・・上手くいけば・・・マリーはレムに当たり・・・一悶着あるかもしれない・・・。)

彼はその先を想像して、少し安心する。なんて言ったって、彼の主゛キャリン・ゴイル″と喧嘩した人だ。ぶつかれば、ただで済むはずがない。

駸邪はそう考えていたが、現実はそう甘くはなかった。
走り寄ってしかも満面の笑みを表している女性を見たレムは少し眉をひそめ若干引きながら、駸邪への道を空ける。そして、それに習って従者も同じ行動をする。当の駸邪はそれを見て思う・・・・・・余計な真似をと・・・。

そう感じていた束の間。女性がレム達の横を通り過ぎる。そして・・・・・・























駸邪に抱きつこうと飛び込む。











・・・・・・・・・が・・・・・・・・・・・・駸邪はその飛び込んで来た女性の突き出された両手の左手の手首を掴み、そのまま勢いを利用して、そのまま・・・投げる!!・・・・・・が、女性は突き出した両手を地面につけて、再び空中に浮く。そして、華麗に体を半回転させ綺麗に着地。
駸邪はそれに対し、嫌そうな表情をしたまま、特に称賛の言葉や拍手をせずに女性をじっと見る。何か言いたい事はあるか?と言わんばかりに。すると、女性は頬を紅くさせ顔を両手で半ば覆い隠し、薬指と小指の間の隙間から駸邪を見て恥ずかしそうに言う。
「もうシンヤったら、皆の前で抱きつかれるのが恥ずかしいからって素直じゃないのね♪」
「・・・素直も何も・・・俺は・・・マリーに抱きつかれる・・・義理立てはない・・・。」
「もう久しぶりの運命の再会だっていうのにつれないわね、シンヤ♪」
女性は駸邪に近づこうとするが・・・・・・駸邪は相手に背を向けて逃げようとする・・・その瞬間、彼の体がグイッと引っ張られるように女性の方に行き、思いきり抱きつかれる。・・・・・・駸邪の左腕に豊かな胸を押しつけながら・・・。
「もう、シンヤ、恥ずかしがっちゃって♪」
「・・・やめてくれないかな。」
駸邪は眉間に皺を寄せながら嫌な顔をするも女性はニコニコしながらやめる気配はなし。・・・そんな時
「あらあら、二人ともお熱いことで。」
もう一人の女性が日傘をさしながら、黒いボブショートにしたナチュラルテイストの髪をなびかせ、一行に近づく。
駸邪はその人が止めてくれるのを期待するが・・・女性は彼の懇願を無視する・・・・・・その時であった。



「何をやっていますの、シンヤ?」



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あきゅろす。
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