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エシホ学園の日常
旧友
寮を出て、『戦闘』の授業がある場所に向かう駸邪。
噴水がある中央広場を右に曲がり、そのまま校舎に進む。
そして、学舎を無視して右斜めの方向に進み・・・校舎を通り過ぎて、木が生い茂る森の中に入った。

・・・地図を見て、だいたいこの辺りと駸邪は思いながら進み視界を防ぐ木の葉をどかすと、その先に男性二人を見つける。

一人の男性は森と同じ色をした深緑色の迷彩服を着ていて、靴は黒のタクティカルブーツを履いていた。
体つきはガッシリと体格が良く、顔つきもかなりの修羅場を潜ってきたのか炯々(けいけい)とした黒い瞳の目つきで威圧感を出している。
髪型は短髪のナチュラルテイストであった。
もう一方の男性は駸邪と同い年ぐらいの青年で、こちらも深緑色の迷彩服を着ていて、その上に薄い緑のタクティカルベスト。靴は黒のタクティカルブーツを履いていた。
体つきは駸邪と変わらず、顔つきは端正な作りで目は透き通った奥まで見えそうな綺麗な赤い瞳。
髪型は少し伸ばしたナチュラルテイスト。色は黒と蒼が混ざったような紺色の髪であった。

男性二人も駸邪に気付き、見る。
そして、先生らしき体格の良い男性が手に持っていたファイルを開き、交互に見比べる。
対して、駸邪はもう一人の青年の顔をじっと見ていた。

・・・確認が終わったのか、先生らしき男性はすぐにファイルを閉じ、にっこりと駸邪を見て
「こんにちは、守人君。私の名は大木純(おおきじゅん)。『戦闘』の教科を担当する者だ。これから、よろしくな。」
そう言いながら、駸邪に歩み寄り右手を出して握手を求める。
「・・・はい。」
駸邪は大木に目を移して、握手をし終わったら再びもう一人の青年の方を見る。まるで、見間違いじゃないか?と確認するように。
対して、相手も先ほどから少し驚いた表情で駸邪を見ていた。
大木はそんな二人を見て、もしかしてと思いながら口を開く。
「・・・もしかして、二人は知り合いかい?」
「・・・えぇ、三年前に・・・・・・。」
「じゃあ、やっぱり、駸邪か?久しぶりだなぁ!」
そう懐かしいと分かる明るい笑顔で言いながら、駸邪に歩み寄る。
対して、久しぶりに会ったにも関わらず、彼は無表情のまま。
「・・・久しぶりだね。・・・まさか・・・シヴァもエシホ学園に・・・入学していたなんて・・・。」
「それはこっちのセリフだ!ていうか、変わった喋り方だな?フランスの時はスラスラって話していたのに。」
「・・・フランス語は・・・言い慣れてるから・・・。・・・日本語だとどうしても・・・途切れ途切れに・・・なってしまう・・・。」
「ふ〜ん、そうなのか・・・。」
シヴァは不思議そうな表情をしていると、大木が話が一区切りついたのを見計らって二人に声をかける。
「・・・では、お互い知っているみたいだから自己紹介はいらないな?では、『戦闘』の教科の細かい授業内容を紹介しよう。」
そう言うと、二人とも大木の方を見る。
それを確認した先生は説明を始める。
「まず、この教科は『戦闘』に関して、あらゆる訓練をやる!その日の気候や温度、状態に応じて訓練をする。基本動作は二人とも、手慣れているからいいな?」
「もちろん。」
「・・・はい。」
「よし。で、銃に関してだが、エアソフトガンを使用する。守人君はマシンガン系、バイラヴァ君は狙撃系を主に訓練する。守人君は狙撃系での戦闘の特待生。バイラヴァ君は近接系での戦闘の特待生だから、君たちにはそれぞれそれ以外の銃を扱ってもらう。」
「わかりました。」
「・・・わかりました。」
「説明は以上だ。質問はあるか?」
「ないです。」
「・・・私もありません。」
「よし。では、本日は良い天気で気温もまあまあだから、森林戦をやろう。先生とお前達二人で対決だ。守人君はこのAK-47を。バイラヴァ君はM24 SWSを使用するように。弾はBB弾。一発当たる毎に腕立て百回やってもらうから全力で避けながら撃つように。それでもし私が当たったら腕立て千回やる。ちなみに、君たちが弾に当たった状態で私が弾に当たったら、それまで当たった回数はチャラにしよう。以上、今回の訓練内容だが、質問はあるか?」
二人は大木からそれぞれ指定された銃と弾を渡され持ち、シヴァは実戦に臨むような真剣な表情。
駸邪は変わらない無表情で返事をする。
「ないです。」
「・・・ありません。」
「よろしい。では、このロケット花火を打ち上げるから、それで訓練開始だ。終了もこのロケット花火を使用する。では、君たちは花火が上がるまでここで待機するように。」
大木はそう言うと二人に背を向け、生い茂った深い森の中に入る。
彼らは先生の後ろ姿を見届ける。そして、見えなくなったら突然、シヴァがニヤリとしながら駸邪の方を見る。
「やっぱり、それ系の特待生になったんだな。」
「・・・シヴァもそうなんだね。」
「まぁな。」
そう言いながら、カチャリと狙撃銃を持ち直し
「でも、これだけブッシュが深かったら、狙撃出来ねぇだろ。」
「・・・そう?・・・おれは楽勝だけど。」
「それはお前だからだろ。おれは前線で暴れる方が得意なんだよ。」
「・・・それは・・・別に苦手じゃないけど・・・やっぱり・・・狙撃が良かったな・・・。」
お互い銃の愚痴をこぼしていたが、久しぶりに会ったからなのか二人は楽しそうに会話していた・・・その時であった。








ヒューン・・・パァァン・・・・・・








ロケット花火独特の打ち上げの音がするとすぐに破裂音が聞こえてくる。
・・・どうやら、訓練開始の合図のようだ。
「よし、それじゃあ、あの先生に腕立て百万回ぐらいやらそうか。」
「・・・そうだな。」
二人とも、銃を構え森の奥に入るのであった。



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