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エシホ学園の日常
午後の授業
「・・・・・・・・・。」
駸邪は寮の自分の部屋で黒を基調とした迷彩服を着込み、その上に黒いタクティカルベストを羽織る。その服装は傍目から見たら、まるで戦争にでも行くような感じであった。
そして、それだけに留まらず靴はいつも履いている黒の革靴ではなく、黒いタクティカルブーツ。
駸邪は自身の準備が終わったのか入念に服装の不備がないか確認する。


消邪との決闘後、三人は体育の時間の終業が鳴るまでずっと二対一・・・キャリン、メイサと駸邪という形で稽古を続ける。
そして、授業が終わると一行は主が゛汗が気になるからシャワーを浴びたい″と言い出したので、二人はその要望に応えるべく体育館を出て、一旦寮に戻る。

本来はヨーロッパでは汗等の臭いは香水でごまかす。なぜなら、水があまりにも少ないからだ。
だから、日本が゛水の宝庫″と呼ばれる所以はそれが原因で日本人は当たり前のように毎日お風呂に入れる。
だが、ヨーロッパではそうではない。
毎日入れない上に節約の為、どうしてもシャワーになってしまうのである。・・・別例として、大金持ちはお風呂に入れるが、やはり毎日ではない。

そういう背景が母国にあったためか、キャリンはどことなく嬉しそう。
なぜなら、ここ日本ではシャワーを浴びたいと思えば、すぐにできるからだ・・・が、彼女は忘れている。
フランスでは自分がそれに関してどういうワガママを言ってきて、そして実行したのかを。
・・・そのお話はまた別の機会に。

ひとまず、そういう経緯で寮に戻り部屋に着いた一行。
キャリンはシャワーを浴びる前に使用人達の方に向き、゛あなた達もシャワーを浴びなさい″と命令。
二人はそれを承り、主が風呂場に入るのを見届ける。そして、駸邪はメイサに先に入るよう指示する。
そうする理由はただ一つ。主がシャワーから上がってきたら、男である駸邪より女であるメイサが対応した方が良いからだ。
それを受け、意味をいち早く理解したメイサはすぐに承り、使用人専用の風呂場のドアを開け入り、閉める。
そして、十分後。使用人専用の風呂場に続く、扉が開けられそこからメイサが出てくる。

服装は変わらず白いメイド服。
だが、顔はシャワーの熱湯のためか・・・少し紅に染まっており、メイドカチューシャを取ったブラウンの髪は濡れていて下の方は彼女の白い肌に張りつく。

その姿はどこか女性特有の艶やかさがあったが、駸邪は他に想いを寄せている人がいるため、気にせず髪を乾かすよう指示する。
それを受けたメイサはすぐに自身の部屋に行き、ドアを開け閉めてから数秒後、ドライヤー独特の゛ファー・・・″という音がドア越しに聞こえてくる。駸邪はそれを聞きながら、キャリンがこの間に出てくる可能性があるため気を配る。
そして、ドライヤーの音がなくなってから数分後。彼女の部屋のドアが開き、見慣れた白いメイド服。頭にはカチューシャを付け、髪は乾いた状態のいつものメイサがそこにいた。
駸邪はそれを確認すると、今度は自分がシャワーを浴びようと彼女に主の事を頼んでから、使用人専用の風呂場の扉を開け入り、閉める。

風呂場の中は先に脱衣所がある。そして、そのすぐ先の扉が体を洗う場所。
脱衣所は人一人入るには少し余裕があり、服を置く棚があってバスタオルが数枚ある。
風呂場は入るとすぐに目に写るのは、上からシャワー、鏡、水とお湯の蛇口。近くにはシャンプーやボディーソープが入っている容器を置く棚があり、左には人一人入るのがせいぜいの湯船がある。

そんな風呂場に入った駸邪はさっさとシャワーを済ませる。
そして、先ほどと同じく十分後。
シャワーを浴びた駸邪は風呂場から出る。
扉を開けた先にはメイサはいなかった。
駸邪はそれを気にせず、自身の部屋に行き、扉を開け閉める。
入ったら、彼はタンスの引き出しからドライヤーを取り出す。そして、電源コードをコンセントに差し込む。
電気を供給されたドライヤーを使って、彼は自身の髪を乾かした。

髪を乾かし終わった駸邪はドライヤーをタンスに戻すと、自身が着ている執事服を整え、部屋を出る。
そして、そのままキャリンの部屋をノックし、いるかどうかの確認・・・すると、返事が返ってきたので゛失礼します″とドアを開けて、部屋に入る。
そこには、椅子に座って詩が書いてあるであろう薄い本を読んでいるキャリンと隣に立って待機しているメイサがいた。
駸邪は主にそろそろ昼食の時間であることを伝える。
それを理解したキャリンは食堂に向かうと言って立ち上がり、二人の使用人は彼女に付き従う。

部屋を出て寮を出た一行は学舎の中にある食堂に着く。
そこで本日の昼食・・・こんがりと焼いた肉をレタスやトマト等の野菜で挟んだサンドイッチとコーヒーを食す。

昼食が済んだら、そこで一行はキャリン、メイサと駸邪で二人と一人に別れる。
理由は午後の授業。
ここからは自身が希望した教科となるからだ。
キャリン、メイサは貴族としての社交性等の勉強とメイドとしての勉強。
駸邪は戦闘。主に前線で戦う兵士を模倣した訓練をする。
お互い授業が終わったら、噴水で集まる事を決めてそれぞれ行動に移る。


・・・そして、駸邪は現在に至る。
自身の服装に不備がないのを確認すると次の授業の集まる場所が書かれている紙を見る。
・・・地図からして、校舎側の外れに位置するようだ。
集まる場所を理解した駸邪は無表情ながらも心はどんな授業になるか楽しみにしながら、部屋を出るのであった。



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あきゅろす。
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