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エシホ学園の日常
大剣と刀
開始の合図と共に、先に仕掛けたのは消邪であった。
彼は木刀を大きく振り上げ、相手に迫りながら降り下ろす・・・が、その前にそれをすることを反応した駸邪は木でできた大剣を大きく斜め上に横に振る。
すると、降り下ろされた木刀の側面に当たる。そして、大剣の力で両剣は床についてしまうと同時に駸邪が右足で相手の後頭部を狙おうとハイキックを繰り出す。
それにいち早く反応した消邪は木刀と共に後ろに退き、蹴りを避ける。
駸邪は右足の爪先を彼の後頭部があった場所にピタッと止め、すぐに体勢を整え今度は大剣を後ろから引っ張る形で相手に迫る。
理由は後ろに避けた事により、消邪に隙が生まれたからだ。その証拠に彼はまだ体勢を整えていない。
消邪は攻めてきた駸邪に対応しようと急いで構えようとする・・・が、その前に相手の方が速かった。
駸邪はそのまま後ろから引っ張る形で持っていた大剣を円を描くように相手に上から降り落とす。そして・・・





・・・ガン!!・・・





消邪はなんとか反応し、木刀を横にして降り落とされた大剣を防ぐ・・・が、顔は苦しそうであった。すると・・・





「・・・闘い慣れてない・・・みたいだね・・・。」





「・・・何?」
辛い表情をしながらもなんとか口を開いて応える消邪。
駸邪は相手のその顔を見ながら、無表情に淡々と言う。
「・・・同じ刀同士の決闘には・・・慣れてそうだけど・・・異種の武器には・・・闘い慣れていない・・・。その証拠に・・・。」
駸邪は左足の爪先を素早く消邪の右膝を狙って繰り出し、当たる。
狙った場所は゛経穴″・・・。

経穴とは体の急所のツボでそれは体中にあり、突かれたら身体の一部の機能が低下し、動かなせなくなる。場所によっては一撃で相手を倒す事ができるものなのだ。

消邪はそれを知らない。だが、経穴を突かれた左足は立つという機能を失い、つい膝を床についてしまう。
本人はなぜ左足がいきなり麻痺したのか訳が分からなく、明はいつもとは違う消邪を見て口元を両手で包みながら涙目であった。

そんな状況でも駸邪の攻撃の手は止まらない。
彼は相手が右膝を床についたと同時に大剣を素早く右横後ろに持っていく。
そして、それを相手に向かって思いきり横に振る。
駸邪の攻撃に気付いた消邪はすぐに横にしていた木刀を逆手持ちで縦に防ぐも・・・





・・・ガァン!!カラン、カラン・・・・・・





木刀は大剣の衝撃により、消邪の手から離れ吹き飛んでいく。

彼は唖然とした。
なぜなら、自分の得意な剣道だったら勝てると思って挑んだのに全くかなわない・・・。
まさか、返り討ちに合うとは全く予想していなかったからだ。

そんな消邪の状態に駸邪はトドメと言わんばかりに、木刀と衝突したと同時に止めた大剣を両手から右手だけで自分の右肩に乗せながら、口を開いてこう言う。








「・・・大剣を刀で・・・真っ向から受ける・・・バカはいない・・・。・・・武器の構造を・・・よく知っている者で・・・あればそんな事は・・・決してしない・・・。」








その言葉は彼に対し敗北感を与えるのは充分過ぎたのか、消邪はそれを聞くとゆっくり顔を俯かせる。そして・・・








「やめ!!」








真魔が決闘の終了の宣言をする・・・








◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆









「よくやりましたわ、シンヤ。」
「・・・勿体無きお言葉。」
ふふんと勝って当然よとわかるような表情をしながらキャリンは駸邪を労う。

あの後、真魔が消邪に゛闘いをもう一度するか?″という質問をして、彼はそれを首を横に振り無言で断る。
それを見た駸邪は消邪に一礼して、自分の主の所に戻ったのだ。

「それでは、稽古の続きをしますですわ。内容はさっきと一緒ですわ。では、早速やりますわよ。」
「「ウィ、モン スェイグナァ。」」
キャリンの言葉により、お互い距離を取り構えて、体育の授業が終わるまで続けるのであった。



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あきゅろす。
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