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エシホ学園の日常
決闘
声がした方向を向くとそこには男女二人組がキャリン達を見ていた。

男性の方は下は黒いパンツを穿いており、上は白いYシャツに黒いネクタイを着けており、その上に燕尾服を羽織るという見た目が執事。
容姿は澄んだ黒い瞳で何も色が混じっていない純粋な黒髪で短髪。
そして、無表情のまま右手には長さが90cmほどの木刀を持っていた。
そんな男性の後ろにキャリン達から隠れるようにいる女性の服装はスカートの下にフリルが付いた白いワンピース。
容姿はパッチリとした青く澄んだ海のような瞳。髪型は見た瞬間、雪を連想させるような白銀のロングヘアー。
そして、表情はなにやら不安そうな面持ちをしていた。

くしくも、三人に声をかけてきたのは昨日、奨に絡まれていたあの二人組のようであった。
「お前。」
男性は駸邪を睨みつけ、持っている木刀の切っ先を彼に向けながら口を開く。
「俺と勝負しろ。」
「しょ、消邪君!」
女性の方は何も聞いていなかったのか驚きの表情で男性に声をかける。
だが、彼は無表情のまま気にしないと言わんばかりにそのままの状態で駸邪を睨み続ける。
どうやら、昨日の駸邪の無理矢理やった仲裁を根に持っているようであった。
「・・・ふむ、勝負でございますか・・・。」
消邪の要求に最初に反応したのはキャリンであった。
そして、なにやら考えるように左手で口を押さえ、少し経つと
「いいですわ、シンヤ。決闘の申込を受けて差し上げなさいですわ。」
「ウィ、モン スェイグナァ。」
駸邪の返答にキャリンは満足気な表情をすると、次に女性の方を向き
「あなたもそれでよろしくて?」
「えっ?・・・あ、うん・・・。」
女性はその言葉に、本当は嫌なんだけど・・・とわかる表情をしながら弱々しく頷く。
それを見た男性は木刀の切っ先を未だに駸邪に向けたまま、今度はキャリンを睨みつけながら質問する。
「なぜ、明にも聞くんだ?」
そう言われたキャリンは意外そうな表情を向けながら答える。
「あら、あなたはその方の執事ではなくて?」
「・・・そうだが。」
「では、その方の使用人であるあなたがわたくしの使用人に挑むと言うんですから、互いの主の了承はなくてはいけないですわ。勝敗はお互いの家名に関わるのでございますから。・・・では、お互い自己紹介をしなくてはいけないですわね。わたくしの名前はキャリン・ゴイル。フランスの貴族でございますわ。」
「私の名前はメイサ・ルーン。キャリンお嬢様のメイドで身辺のお世話をさせて頂いております。」
「・・・私の名前は守人駸邪。・・・キャリンお嬢様の執事で・・・同じく身辺のお世話を・・・させて頂いております・・・。」
キャリン達の紹介を受けた二人は自分たちも言おうとそれぞれ口を開く。
「わ、私の名前は月光明(げっこう あき)。日本人です。」
「・・・俺の名前は闇業消邪(あんごう しょうや)。明の執事をやっている。」
二人が自己紹介をし終わると、キャリンはもう勝ち誇った表情をしながら口を開く。
「では、改めて決闘の申込を受けて差し上げますわ。では、シンヤ、構えなさいですわ。」
キャリンはそう言うと、メイサと共に駸邪から離れる。
そして、彼は主の言う通りに大剣を最初の時と同様の構えを取る。
「明。危ないから離れていろ。」
「う、うん・・・。」
そう言われた明は不安そうな面持ちをしながら消邪から離れる。それを確認した彼は駸邪に対し左足を一歩後ろに置き、木刀を前に構えるという中段構えを取る。
するとその瞬間
「ふむ、決闘をするのか。」
いつの間にか、駸邪と消邪の間に真魔が現れる。
突然の登場にそこにいた人達は、ぎょっ!!とした表情で先生を見る。
そして、明はつい真魔に質問してしまう。
「せ、先生!いつから、そこにいたんですか!?」
「今、訪れた。先生は全体をちゃんと見ているから、こういうのはもちろんの事、体を動かしていない生徒を見つけたら、すぐに駆けつける。」
フッと笑いながら答える真魔。
それを聞いた明はただただ驚いていたが、それと同時に安心をする。なぜなら、これで喧嘩をせずに済むと。
「それでインスティテュゥタァは何しにここに来たんですの?わたくしはこれから自分の使用人の決闘を見届かねばならないんですの。」
キャリンは最初こそ驚いていたが、すぐに頭を切り替え真魔に、なぜここに来たかと少し不愉快そうな表情をしながら質問する。
そして次の瞬間、ある期待を大きく裏切る返答をする。


「もちろん、体育の先生として私も見届けるためだが?」


それを聞いた人達はそれぞれ違う表情をする。
キャリンは、そうこなくてはとわかる表情。
メイサは相変わらずの笑顔。
駸邪と消邪はお互いを睨んだまま、無表情。
明は、そんな・・・とわかるかなりショックを受けたような顔をしていた。
真魔はそんなそれぞれの反応を気にせずに続けて言う。
「互いの了承を得た決闘または組手は己の技の研鑽の為に必要不可欠だ。また、それを見るのもまた勉強。ただし、同じ人同士の組手は当人はしてもいいが、見る者は一回だけだ。だから、守人君と闇業君の決闘が終わって、また当人同士の組手が始まっても他の人は見届ける事は許されないから、その時は体を動かすように。」
「ありがとうございますですわ。」
真魔の言葉が嬉しかったのかキャリンは両手でドレスの端を持ちながら、体ごと一礼する。
先生の言葉を聞いた明は愕然とする。そして、考え直して欲しいと言わんばかりに真魔を見る・・・が、先生はそれを気にせずに決闘の合図をする。
「では、これより守人駸邪と闇業消邪の決闘を始める。では・・・・・・」


「始め!!」




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あきゅろす。
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