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エシホ学園の日常
回答式歴史
「では、まず手始めに私の授業では居眠りは禁止よ。もし、寝たら・・・」

ドゴッ・・・

回答がそこまで言うと、なにやら鈍い音がすると同時に居眠りしていた生徒達が一斉に後ろに倒れ、おでこを押さえる。
そして、痛そうにのたうち回る。・・・よく見れば、彼らの周辺に何かに当たり砕けたように白い物体が散りばめられていた。
「チョークが飛んでくるから♪痛さは見ての通りよ♪」
あなた達もああなりたくなかったらちゃんと聞くようにと言わんばかりのにこやかな表情で言う回答。
それを見た生徒達はチラリと自分の近くで居眠りの代償を受けた人を見る。

表情は未だに痛いのか悲痛の顔で涙目。おでこには、まるで刻印されたかのようにある綺麗な小さい赤い丸。
そして、目線を少し動かして居眠りをしていた人達の周りにあるチョークと思われる粉々に散りばめられている白い物体。

これらを見て、どれくらいの威力なのかは一目瞭然。
しかも、痛いだけじゃない。周りの人から見たら、゛自分は居眠りをしていた″とすぐにわかる刻印付きである。開き直れる人物にはまだいいかもしれないが、プライドの高い人には屈辱的であろう。

生徒達はそれらを頭の中で理解した後、視線を回答に戻す。そして、授業を受ける姿勢を彼女に見せる。
回答はそんな生徒達に満足したのか、話を進めようと口を開く。
「それじゃあ、次の話に進めるわね♪もう周りを見て気付いているかもしれないけど、必須科目の『歴史』と『体育』は一学年全クラスで合同で進めるの。だから、二年間はずっとこのままでいくわ。ちなみに、クラスもね。で、次に『歴史』の教科書を見てほしいんだけど、見ての通り、私のオリジナルの教科書よ。だから、自分が中学時代に習った歴史とは違うと思うかもしれないけど、異論は認めないわ。習う歴史は国によって違うし、捏造もある。私の教科書は世界中の国の歴史を研究して作ったものだから、多少疑問があるかもしれないけど、先ほど言った通り、異論は認めない。いいね?」
回答がそう言うと、そうなのかと読み取れる表情をしている生徒や不服そうな顔。中には、無表情の人もいる。
回答は生徒達のそれぞれの表情を見た後、ニッコリと口を開く。
「それじゃあ、質問はないわね?では、教科書の最初のページを開いてちょうだい・・・・・・」








◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆









授業が終わり、次々と教室を出る生徒達。
キャリンお嬢様一行もその中に混じっている。
そして、次の授業場所の体育館に向かおうと足を運ぶ。
・・・そんな時、キャリンが不服そうに口を開く。
「国によって習う歴史は違うというのは、百歩譲って理解致しますが、捏造というのは聞き捨てなりませんわ。まるで、わたくしの国が歴史を捏造しているという言葉ではありませんの。」
「・・・ある意味・・・間違っては・・・おりませんけどね・・・。」
駸邪がそう呟くと、キャリンは立ち止まり、キッとした表情で執事を睨む。
「わたくしの執事であるあなたが我が祖国を侮辱するんですの!?」
そう怒声を浴びせかけると、駸邪はなおも無表情のまま静かに口を開く。
「・・・申し訳ありません・・・お嬢様・・・。・・・ですが・・・お嬢様の祖国を・・・侮辱したわけでは・・・ありません・・・。・・・どこの国も・・・そうだからです・・・。」
それを聞いたキャリンは聞こうとしているのか、怒っていた顔を無表情に戻す。
「・・・と言うと?」
「・・・お嬢様は祖国の歴史に・・・人外と思えるような事を・・・他国にしたという記述が・・・ありましたら・・・どう思いますか・・・?」
駸邪がそう言うと、キャリンは考えるように右手を顎につける。
「・・・今のは例えですが・・・中にはそういう出来事を・・・歴史から隠す国も・・・あるわけです・・・。・・・国民から・・・反感を買わないように・・・。」
「それがわたくしの祖国にもあると言うんですの?」
「・・・それはわかりません。・・・ただ歴史の真実は・・・その時代に・・・書かれた書物を読まない・・・限りわかりません・・・。・・・でも・・・その書物自体も・・・捏造の可能性があります・・・。・・・まぁ・・・とどのつまり・・・その時代に・・・行ってみないと・・・わからないという・・・事ですが・・・。」
「・・・・・・そう。」
キャリンは納得がいかない・・・でも、わかる所はわかる。そんな思いを持ちながら、再び歩き出す。
端から見たら、複雑な・・・何か考え事をしているとわかる顔をしているが、彼女の使用人達は気にしていないのかいつもの表情・・・駸邪は無表情でメイサはにこやかな笑顔のまま、主についていくのであった。



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