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エシホ学園の日常
教科書
寮に着き、ミケ達、美夏達、悠矢達そしてレム達一行と別れるキャリンお嬢様方。
そのまま自室へと向かい、その扉の前に着く。
駸邪はドアの上の真ん中に位置する表札『ゴイル家』の文字を見て確認すると、その部屋の鍵を取り出す。そして、それをドアノブの鍵穴に差し込み、ガチャリと解錠。
それにキャリン、メイサと入り最後に駸邪が入って、彼が扉を閉める。
閉め終わった執事は振り向くと、先に入った二人がある所を一点に見ている事に気付き、自身も見る。
そこには、両手で軽く持てるぐらいの大きさの段ボール三個あり、その上に紙が貼られていた。
そして、書いてある内容は

゛キャリン・ゴイル様の教材″
゛守人駸邪様の教材″
゛メイサ・ルーン様の教材″

と、書かれていた。
どうやら、今朝回答が゛自分で確認してちょうだい″と言っていた教科書類が入った箱のようだ。
それを確認した駸邪はキャリンに声をかける。
「・・・今朝・・・回答先生が・・・仰っていました・・・教科書類のようですね・・・。部屋に運びましょうか・・・?」
「お願いですわ。」
お嬢様の返答を得た駸邪は二人の前に行き、キャリンの教科書類が入った段ボールを両手でそれぞれ左右の端を持つ。

(・・・重さとしては普通だな。)

執事はそう心の中で持った感想を呟いていると、次にメイサが彼の前に行き、キャリンの部屋の扉を開く。
そして、一旦駸邪は横に退き自分の主を先に通らそうとする。
前が空いた事を確認したキャリンはそのまま歩き、自分の部屋に入る。
それを続いて、駸邪が入室すると彼の主が口を開く。
「その段ボールはテーブルの上に置いておきなさいですわ。メイサは後で私の部屋に来るように。」
「「ウィ、モン スェイグナァ。」」
主人の言葉に返事をする二人。
そして、駸邪は言われた通りにテーブルの上に段ボールを置き、一礼してから退室する。
部屋を出ると、メイサが扉を閉める。それが終わったら、執事の方を向き微笑んだ表情で彼を見る。
それに対して、駸邪は無表情のまま彼女に指示をする。
「・・・それじゃあ・・・自分の段ボールを・・・自室に・・・持っていったら・・・お嬢様の部屋に行くように・・・。・・・それで・・・お嬢様の用事が終わる・・・もしくは・・・お嬢様が就寝したら・・・メイサも休んでいいから・・・。」
「わかりました、シンヤ。」
メイサが指示に理解した事を確認すると、駸邪は片手で自分の段ボールを横にしながら持ち、自室の扉を開く。入ってから閉めると、中は真っ暗。
彼は扉の右横の壁にあるスイッチを、パチンと押すと天井にある蛍光灯が、パチッパチッと点滅し始め、次に白い光で部屋をパッと明るくさせ、そのままの状態で保つ。
それを確認した駸邪はベッドの方に向かう。
そして、それに静かに腰かけて、両手で持っていた段ボールを膝の上に置き、中身を見ようと開ける。
すると、中には本一冊とA4の紙三枚。
まず、手始めに駸邪は本一冊を手に取り、観察する。
その本は厚さ1cmはあるであろうと思えるぐらい厚く、見た目としては焦げ茶色。表紙を見てみると、そこには

゛回答礼監修 歴史″

と、書かれていた。

(・・・どうやら・・・あの先生が・・・作った教科書・・・みたいだな・・・。)

そう思った駸邪は教科書を段ボールの中に戻し、次に三枚の紙を取る。
それには、二つの必須科目と自分が習いたい教科一つをどこでやるかという場所について書かれていた。
それを軽く見た駸邪は三枚の紙も段ボールに戻し、立ち上がってタンスの方に行く。
そして、まるで今日一日の執事の仕事が終わったかのように普段着になろうと着替えるのであった。



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あきゅろす。
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