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エシホ学園の日常
食の違い
それから、一行は自分の国の文化、特徴を話す。

フランスは美意識が高く、主に首都パリでは文学や美術から料理やファッションにいたるまで、フランスの文化が集約されていると言っても過言ではない国。
イギリスは伝統を重んじるが、それゆえに民族の誇りが高く、゛イギリス人″と呼ばれるのを嫌う人もいる国。
中国は情に厚く、家族や友人が困っていればすぐに助けるが、何も縁がない人にはかなり冷たい国。
日本は四季が顕著に表され、人々も温厚な上に働き者。だが、お互いの結束が高いゆえに他に流されてしまう国。

それぞれのお互いの国の事を話して、時間が過ぎていく。
そして、駸邪の一言で一行は午後三時から午後六時に経過したことに気付く。
「あら、もうそんな時間ですの?」
「時間が経つのは早いねぇ。」
キャリンが少し驚きながら駸邪に聞く姿を、ミケは微笑みながら見て言う。
「じゃあ、このまま夕食にしてもいいんじゃないかな?」
「良いわね。皆さんが普段、どんな食事を取るか興味があるわ。」
美由の提案に賛同するレム。
すると、ミケが何か思いついた表情で言う。
「じゃあ、献立は美夏ちゃんと燎閃君にお願いしようか。二人は料理を学ぶためにこの学園に来たし、料理の特待生だからね♪」
「任せてくれ!!」
「皆さんの口に合う料理をお出ししますね。」

「・・・・・・ふむ。最初は見た目が赤いから、なんとおぞましい料理なんだろうと思いましたが、食べてみると舌にピリッときたと同時に海老の甘さでほどよい味になりますわね。」
「そうね。でも、こちらもなかなか美味じゃないかしら?パスタは太いけど、モチモチ感があるし、別に味付けをしなくてもこのままスープと一緒に食べれるわ。」
「・・・この発想はなかったな。溶けたチーズにウインナーや揚げた魚を付けて食べるのは初めてだ。」
「でも、味付けは何もされていないね。」
「うん。見事、フランス、イギリス、中国、日本の伝統料理を一挙に集めて、お互い味が喧嘩しない献立になったね。お見事だよ。」
目の前に広がる食卓に軽く感動したミケは用意してくれた燎閃と美夏に言葉をかける。
それを、少し嬉しそうな表情を浮かべながら軽く一礼する二人。

本日の夕食の献立はうどん、海老チリソース、フィッシュ&ポテトやウインナーにハム、そしてチーズフォンデュ。主食はキャリン・レム一行はパンで、美夏・美由・ミケ一行はライス。デザートはバニラのアイスであった。

それぞれ初めて食べる部類があり、キャリンとレムは海老チリソースの見た目に驚いていた。
だが、実際に食べてみると美味しく、うどんも二人から好評価を得ていた。
美由と悠矢は最初、ウインナーや魚のフライをそのまま食べると何も味付けがされていない事に驚く。
次に、チーズをつけて食べてみると、意外に合う事に気付く。
四人はそれぞれ違う食文化に驚いては感心し楽しんでいた。
ミケはその国によっての味の違いは知っていたので、燎閃と美夏を褒めた。
二人も料理人であるがゆえに、それぞれの食文化を理解した上で今回の食事を用意した。
結果、見事成功したので、燎閃と美夏はホッとする。それと同時にミケと共に味を楽しんでいる四人を見て、自然に笑顔になる。
そして、使用人達はというと、主人から少し離れて、自分たちも席に座り、黙々と食べていた。

主人の他の人との談笑を邪魔をしてはいけない。
これは仕える者にとっては常識と同時に、それが使用人のルールである。

だが、それを知らない美夏は時折、駸邪に向けて寂しい目線を送るのであった。



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