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エシホ学園の日常
午後のお茶
十二人の一行は食堂前に着き、一番前にいるミケがどこの席が良いか目で探す。
中では至るところに人が集団を作って座っていた。

飲み物を飲みながらケーキやクッキーを食べて談笑する人達。
ただ、座って会話を楽しんでいる人達。
パンとスープとステーキを食している人・・・。

「もう食事を取っている人がいるんだね。」
美由が半ば信じられないという表情で見る。
「ここの学園は世界中の国の人を受け入れているからね。その国の中には、『一日五食』が基本の国もあるから、多分あの人はその国出身の人だよ。」
彼女の説明に猫神家の執事以外の十人は、へぇ・・・という少し驚いた表情を見せながら、食事を取っている人を見る。
その間、ミケは席を探して見つける。
「あっ、あそこが良いんじゃないかな?」
彼女が指を差す方向を一行は見ると、そこは二十人ほどの集団が座れる場所のテーブルであり、注文をする受付からは近い所であった。
「あっ、良いですね。受付からはそんなに遠くないですし。」
「うん!そこにしましょう、ミケさん!」
美夏と美由が賛同するとミケは、じゃあ、そこにしようかと言って、一行はその場所に行く。

その場所に着いた一行は悠矢と美由は廊下側の席に、その向かい側に燎閃、美夏とそれぞれ自分で椅子を引き、座る。
対して、猫神、ゴイル、ヘマト家一行は執事に椅子を引かせるのをやらせる。
そして、主がそれに座る。
それぞれがいる席はレムは美夏の隣。キャリンはそのまた横。
ミケは美由の隣に座る。
そして、それぞれの使用人は座らないで立っていた。
「・・・座らなくていいの?」
美夏は心配そうな表情で執事、メイド達の顔を見る。・・・特に、駸邪にはまじまじと見つめていた。
「・・・大丈夫。・・・これが私達の・・・役目だから・・・。・・・それより・・・キャリンお嬢様・・・。・・・お菓子は・・・クッキーで・・・よろしいでしょうか・・・?」
「・・・そうでございますわね・・・・・・レム。あなた方の午後のお茶の際は、何が主流ですの?」
「私達の国では、ショコラやケーキが出されるけど、クッキーも出るわよ。ここはスタンダードにクッキーが良いんじゃないかしら?」
「あたしは何でもいいけど、ここは手で食べやすいクッキーが良いんじゃないかな?他の人はどう?」
ミケが美由や美夏達を見ながら、聞く。
四人は異存はない表情だった。
駸邪はそれを確認すると
「・・・では・・・お菓子は・・・クッキーで・・・。・・・美夏達と美由達は・・・飲み物は・・・どうしますか・・・?」
「えっ?あたし達の分も持ってきてくれるの?」
「・・・礼儀を失すると・・・思いましたので・・・。」
美由が少し驚きながら聞いてきたのを、駸邪は無表情にそう答える。
だが、本当は自分の主だけ飲み物を持ってきてしまえば、他の人から反感を買ってしまい『ゴイル』という家名を地に貶めてしまう恐れがあったので、彼は聞いた。
キャリンはその事が分かっていたのか、何か満足気の顔をしていた。
それを聞いた美由は、嬉しそうな表情で言う。
「それじゃあ、頼もうかな♪私は紅茶でお願い!悠矢君はどうする?」
「俺はお茶でいい。」
「・・・紅茶とお茶だね。・・・美夏と燎閃はどうする?」
質問された美夏は、ビクッと何か驚いたら、モジモジし出す。
「そそ、そしたら、私もお茶にしようかな・・・?」
「俺もお茶でお願いするぜ、駸兄貴!」
「・・・分かった。・・・では、メイサ。・・・飲み物の運びの・・・手伝いをお願い・・・。」
「かしこまりました、シンヤ。」
そう言って二人が受付に向かおうと動くと、それぞれの使用人も駸邪達と同じ所に行くのであった。



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あきゅろす。
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