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エシホ学園の日常
ハプスブルク家
龍虹は疑問に思った事を口にする。
なぜなら、彼から見てレムのフェネに対する反応が゛異常″だからだ。


生徒会長が出てきたら、周りが見えなくなるぐらい呆然とする。
生徒会長が出てきたら、ずっと彼女の事を見つめる。
そして、生徒会長の事となると手段を選ばなくなる。


龍虹はこれらのレムの行動が理解できなかった。
対して、同じような主を持つ駸邪は何か考えるような表情をした後
「・・・そっちの方は・・・どうなのかは・・・分からないけど・・・俺の方には・・・心当たりがある・・・。」
「・・・心当たり・・・ですか?」
龍虹の質問に駸邪は頷く。
「・・・キャリンお嬢様が・・・フェネ生徒会長に・・・夢中になるのは・・・゛家柄″のせい・・・だと思う・・・。」
「家柄・・・ですか?」
「・・・龍虹は・・・『ハプスブルク家』・・・の事を知らないの・・・?」
それに対し、龍虹は頷く。
「・・・ハプスブルク家とは・・・古代ローマ時代から・・・ある貴族で・・・中世の血縁制度を・・・利用した・・・政略結婚により・・・広大な領土を獲得し・・・南ドイツを代表する・・・大貴族に成長した・・・家柄・・・。・・・中世から・・・20世紀初頭まで・・・中部ヨーロッパで・・・強大な勢力を誇り・・・当時あった国・・・オーストリア大公国・・・スペイン王国・・・ナポリ王国・・・トスカーナ大公国・・・ボヘミア王国・・・ハンガリー王国・・・オーストリア帝国・・・などの大公・国王・皇帝を・・・代々輩出した・・・。・・・後・・・後半は・・・形骸化していたみたい・・・だけど・・・ほぼ・・・ドイツ全域を統べる・・・神聖ローマ帝国の・・・皇帝位を・・・中世以来保持し・・・その解体後も・・・オーストリアが・・・ドイツ連邦議長を・・・独占したため・・・かのビスマルクによる・・・統一ドイツ帝国から・・・除外されるまで・・・形式的には・・・全ドイツ人の君主・・・だった・・・。・・・それで・・・ハプスブルク家は・・・ヨーロッパ随一の・・・名門王家と・・・言われている・・・。」
「要するに、゛貴族の中の貴族″か。」
駸邪の途切れ途切れ説明を悠矢が自分なりに分かりやすく要約する。
「・・・そうだね。・・・この話は・・・キャリンお嬢様から・・・何回もしていた話で・・・ハプスブルク家に・・・対して・・・憧れを・・・持っていたみたい・・・。」
「なるほど、そちらはその理由で夢中になっているんですね。」
「・・・そうだね。・・・もしかしたら・・・そちらのお嬢様も・・・それで・・・夢中になっている・・・かもしれないし・・・。」
駸邪の指摘に龍虹もそうかもしれないですねと理解を示す。
その時、生徒会長室の扉が開かれる。
中からは先ほど入室していた人達が出てきた。

「・・・おかえりなさいませ・・・キャリンお嬢様・・・。」
「おかえりなさいませ、レムお嬢様。」

執事はそれぞれ自分の主に一礼する。
「では、私は生徒会の仕事がございますので、これで。」

「フェネ生徒会長。本日はありがとうございましたですわ。」
「また、会える事を楽しみにしています。」
「フェネ生徒会長の絵は素敵ですから、また今度見せて下さい!」

キャリン、レム、美由の順で別れの挨拶をする。
それをフェネは微笑んだ表情で
「えぇ、皆様方とまたお会いすることを楽しみにしています。」
それを聞いた二人のお嬢様方はまたもやみとれる表情でフェネを見る。
それを二人の執事が正気に戻す。

「・・・では・・・お嬢様・・・退出しましょう・・・。」
「では、お嬢様退出しましょう。」

そう言われた二人は、はっと正気に戻り、同時にそうねと返事をして部屋を出ようとする。
それを次に悠矢と美由が退出。慌てて美夏と燎閃が出て、部屋には生徒会長一行の三人が残った。
フェネは皆が退出するのを見届けたら、自身も執事によりドアを開けられた生徒会長室に戻り、それをコマ、ヴェルの順に入る。
そして、最後に入った彼が扉を閉め、生徒会室は無人になるのであった。



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あきゅろす。
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