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エシホ学園の日常
一年振り
昼食を食べ終えたキャリン達は、事前に確認しておいた生徒会室がある三階へと上っていた。
三階に着いたら壁に貼ってある見取り図を見て、目的の場所を探す。
そして、生徒会室がある部屋を見つけたら、そこへ向かっていった。

生徒会室の部屋の前に着くと中から
「良いじゃねぇか。せっかく、同じクラスで同じ学級委員になったんだから、終わったら一緒にお茶に行っても。」
「絶対にやだ!!悠矢君、なんとかして〜!」

(・・・この声は。)

駸邪は多少不安を覚えながら、引き戸を開けキャリン、メイサと通して最後に自分も生徒会室に入る。

生徒会室の中は各辺20Mの正四角形の部屋であった。
中央には大きい円いテーブルが置かれ、壁の左右には伝言や予定などを貼るであろう掲示板。
右上隅と左上隅に書類をしまう場所であろう事務用の棚。
生徒会室と廊下を繋ぐ引き戸の正面には扉があり、その上に『生徒会長室』と書かれていた。
そして、先ほどの声の主であろう爆乱奨と男女二人がいた。

引き戸が開いた事により、中にいた三人は廊下側の方を向く。
そして、入ってきたのがキャリン達だとわかった奨は近づこうとする。
「おぉ!昨日の」


バチン!!


その瞬間そんな音が聞こえ、メイサの手には鞭が握られていた。
「奨様。昨日の忠告はお忘れでしょうか?」
「わ、忘れちゃいねぇけど、いきなり」「あれ?キャリンちゃんじゃない!」
奨の声が、黒髪で長さが腰まである女性によって遮られる。
話しかけられたキャリンは怪訝な表情をしながら
「あら?どこかでお会いしましたかしら?」
「えぇ!あたしの事、忘れちゃったの!?」
女性は頬を膨らませながら言い、次に彼女のパッチリとした黒い瞳の目は駸邪を捉える。
「あ!駸邪君もいたんだ!駸邪君はあたしの事、覚えてるよね?」
「・・・うん、覚えてる。」
「シンヤ。どなただったかしら?」
「・・・去年の夏・・・あの一件で・・・お世話になった方です・・・。・・・お嬢様はチラッとしか・・・見ていないので・・・覚えていないのは・・・無理がありません・・・。」
駸邪の口調に女性は怪訝な表情をする。
すると、少し茶色がかったナチュラルテイストな髪型をした男性が話しかけてくる。
「なんだ?また、面倒事か駸邪?」
「・・・別に。・・・そんなでもないよ・・・悠矢・・・。」
悠矢と呼ばれた男性は自身の茶色の瞳でふ〜んと何か納得しながら駸邪を見る。
そして、次に二人は見慣れない人に視線を移す。
「・・・メイドか。初めて見たな。」
「ねぇねぇ、お名前は?」
メイサは自分の事を言われていることに気付き、微笑みながら自己紹介する。
「申し遅れました。私、キャリンお嬢様のお世話をさせて頂いております。メイサ・ルーンでございます。」
「メイサちゃんね!それじゃあ、キャリンちゃんの為にもあたし達も自己紹介しなきゃ!」
そう言うと、自身の薄い黄色をしている裾が肘まであるワンピースを正し、改めてキャリン達に向き直る。
「あたしの名前は京谷美由(きょうたに みゆ)!この学園に来た理由はこの学校の将来有名人になりそうな生徒とコネを作るためなの!よろしくね♪」
「・・・ちなみに・・・美由は・・・京谷財閥のご令嬢で・・・ございます・・・。」
「ザイバツとは?」
「・・・フランス語に直しますと・・・゛コングロムレェイツ インダストリエルズ″と・・・言います・・・。」
聞き慣れない日本語の意味を聞いたキャリンは納得したような表情をしながら
「なるほど。社交性を求めて、来たのですね。では、先ほどは失礼しましたですわ。改めてよろしくですわ。」
「うん!よろしくね♪・・・ほら、悠矢君も挨拶!」
さっきから黙っていた悠矢は美由にそう急かされると、めんどくさそうに群青のジーパンのポケットから手を出し、キャリン達の方に向く。
「俺の名前は四季守悠矢(しきもり ゆうや)。よろしく。」
「こちらの方は庶民のようですわね。」
キャリンは悠矢の服装・・・長袖で袖は青の生地で他は白の生地の服、ジーパン、スニーカーを舐めるように見る。
「・・・四季守流日本国拳法、剣術を・・・使い手とする道場の・・・次期師範です・・・。」
「もう免許皆伝は取得しているがな。」
「なるほど。武門の方ですわね。まぁ、庶民と変わりはありませんが。」
「相変わらずのコメントだな、キャリン。」
そんな会話を横で聞いている奨は自分は蚊帳の外にされていると気付いていても、会話に入り込む隙が見つからず、他の人が続々と生徒会室に入るまで、終始困っていた。



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あきゅろす。
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