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エシホ学園の日常
入学式
回答を先頭に教室を出た生徒達は入学式の会場となる外の校舎前に向かう。
そして、学校を出ると沢山の人が白い壇上を前に並んでいる光景が彼女らの目に写る。
すると、回答は左手首に付けている腕時計を見る。
・・・時刻は10時丁度であった。
「うん。時間通りね♪」
そう言いながら、『1−F』の場所であろう、人が整然と並んでいるのに一部分だけポッカリと空いている場所に行き
「それじゃあ、みんな!縦列で三列に並んで!並ぶ順番は適当でいいわよ!」
生徒達は回答の指示に従い、三列に並ぶ。
ちなみに、キャリンお嬢様一行は横五列目に並んでおり、レムお嬢様一行は横三列目。
燎閃と美夏は一番後ろに並んだ。

そんな回答の行動を校舎から出てくる所からずっと見ていた人達がいた。
その人方は生徒達から見て、右斜めにいて在校生や新入生と同じく並んではいなかった。
・・・その人達はエシホ学園の理事長であるジャンと生徒会である。
回答が生徒を並び終える所まで見ていると、ジャンが少し意外のような口調で喋り始める。
「回答先生が10時丁度に来るとは珍しいの。」
「きっと、生徒達に急かされたのでしょう。でも、あの回答先生を動かすなんて凄い事です。」
「うむ。そうであるな。では、ハプスブルクよ。始めてくれ。」
「分かりました、理事長。では、コマ。お願いします。」
「はい、お嬢様。」
ポニーテールの女性にそう言われたメイド姿のコマと呼ばれた人は了承し、生徒会の前に立てられいるマイクに向かって
「・・・皆様、静粛にお願いします。」
凛とした声を発し、校舎前にスピーカーを通して響き渡ると、ざわついていた生徒達は静かになる。
それをコマは確認すると
「・・・それでは、ただいまよりエシホ学園入学式を始めます。始めに、理事長兼学園長挨拶。」
呼ばれたジャンは白い壇上に向かい、台の上に立つために階段を上る。
そして、着くと予め立てられていたマイクに向かって
「おはよう。新入生の皆方、よくぞエシホ学園に来てくれた。ここの学園は学園案内書や我輩との面接時に言った通り、お主達の自由がある!それと同時に、学園生活も良くするも悪くするもお主達次第である。明日より我が学園の必須科目である『体育』、『歴史』の授業と共に自らが志望する科目の勉学が待っている。それらに大いに励むように!!我輩からは以上である。」
「ありがとうございました。次に、生徒会長フェネ・ハプスブルク挨拶。」
キャリンはそれを聞くと
「・・・ハプスブルク?」
そう呟く。
壇上ではジャンと入れ替わり、フェネが立つ。
その瞬間、キャリンお嬢様一行とレムお嬢様一行は目を丸くする。
なぜなら今朝、エントランスホールで会ったからだ。

その人の容姿は光輝いているのではと思うほど腰まであるポニーテールの美しい金髪をしており、しっかりとした面持ちで目には力が宿っており、翡翠の色をした瞳。
そして、薄桃色のドレスで自身を着飾っていた。

くしくも、今朝の駸邪と龍虹の喧嘩を止めた人であった。
フェネは快晴のおかげで空からの太陽の日光で自身の金髪をきらめきさせながら、まるで透き通った海のような綺麗な深緑の瞳で生徒達を一度見渡してから
「新入生の皆様、はじめまして。エシホ学園の生徒会長を務めさせていただいておりますフェネ・ハプスブルクです。先ほど、ノール理事長が仰ったようにこの学園は生徒の自由があります。そして、一年間の行事等は全て生徒会に一存されております。皆様方に、より良い学園生活が送れるよう尽力致します。では、どうかよろしくお願いします。」
そうドレスの端を持ち、体全体で挨拶すると壇上を降りる。
「次に、エシホ学園の必須科目である『体育』『歴史』の教師の方をご紹介します。」
すると、回答とその隣の『1−G』の担任真魔刧が歩き出し、壇上に上がる。
そして、横に並んで立つと
「それでは、ご紹介します。男性の方が体育担当の真魔刧先生。女性の方が歴史担当の回答礼先生となります。」
そう紹介され、二人は一礼する。
その所作が終わると、壇上を降り自分の担当のクラスに戻る。
コマはそれを見届けると
「それでは、入学式を終わらせていただきます。」
そう伝えられると、各クラスの先生指導で教室に戻り始める。
「それじゃあ、教室に戻るわよ!」
回答が生徒に呼び掛け、自身を先頭に教室へと向かう。
ただ二組は除いては・・・

「・・・・・・。」
「・・・・・・。」

キャリンとレムが白い壇上を見つめたまま、固まっていた。
それをそれぞれの執事が声をかける。

「・・・キャリンお嬢様。・・・どうかなされましたか・・・?」
「レムお嬢様。お戻りになりませんと。」

そう言われた二人はハッとした表情になり

「あら、どうしましたの?」
「あら、どうしたの?」

場の状況が良く分かってはいないようであった。

「・・・入学式が・・・終わりましたので・・・教室に戻りませんと・・・。」
「入学式が終わりましたので、各自教室に戻っているのでございます。」

すると、二人は口を揃えてこう言った。

「あら、生徒会長挨拶で終わりましたのね。わかりましたわ。」
「あら、フェネ生徒会長の挨拶で終わったの。それじゃあ、戻るわよ。」

それを聞いた各執事とメイドは頭に?を浮かべながら、自分の主の後ろを歩くのであった。



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あきゅろす。
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