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エシホ学園の日常
担任
キャリンお嬢様一行は席に座った後、燎閃と美夏も席につこうと移動する。
すると、次々に新入生が教室に入ってくる。
今の時刻は8時45分。
事前に入学が決まった人に当日案内書を送っており、教室にいなければならない時間は9時ということで、皆向かい始めたのだ。
キャリンお嬢様一行は教室に入ってくる人達を暇潰しに見る。
すると、入室してくる人達に見覚えのある三人を見つける。
・・・レムお嬢様一行だ。
相手の三人は黒板を見て、席を確認すると龍虹を先頭に向かい始める。
そして、レム達もキャリン達に気付き
「あら?あなたと一緒のクラスなのね。」
「先ほどはどうもですわ。」
レムは龍虹の前に行きそう話しかけると、キャリンは済ました表情で返事する。
「いえ。あれであなただけでなく、他の者にもヘマト家の強さを知らしめる事ができたから良かったわ。」
「そう。」
キャリンはなおも表情を変えずにそう答えると、レムは何か勝ち誇ったような顔をする。
「お嬢様。席の用意ができました。」
龍虹がそう言うと、彼女はキャリンの前にある席につく。
そして、その隣の窓側には麗香。
廊下側には龍虹が座る。
どうやら、キャリンお嬢様一行の三人の前が彼女らの席のようである。

着々と教室に置いてある席に新入生で埋め尽くされていき、9時になる。
そして、始業の合図であるチャイムが鳴った。
新入生はそれを聞きながら、自分のクラスの担任はどんな人なのか心待ちにし先生を待つが・・・





〜5分経過〜


「・・・・・・。」





〜10分経過〜


「・・・・・・・・・。」





〜15分経過〜


この時間になるとクラスがざわつき始める。
「遅いですわね・・・・・・様子を見に行った方がよろしいんじゃなくて?」
「・・・ですが、お嬢様。・・・勝手に教室を出る事は・・・できません・・・。」
駸邪にそう諌められたキャリンはハァ・・・とため息をつき、分かりましたわと返事する。





〜20分経過〜


ガララ・・・


いきなり教室の引き戸が開かれる。
入ってきたのは背が低めの女性であった。

その人の容姿はスッとした顔立ちで、優しそうな目で大自然の森を連想させる緑の瞳を持つ。
髪型は黒髪の腰まであるストレートでおでこに少し髪がかかっていた。
服装はYシャツで赤い大きいリボンを襟元に付けていて、膝まである白いスカートを着ていた。

女性は教壇に上がり、教卓に両手を置きながら
「皆さん、初めまして!今日からこのクラスの担任になります回答礼(かいとう れい)よ。ちなみに、漢字はこれね。」
そう言うと、黒板に記してあった席を黒板消しで消して、その上に自分の名前を書く。
書き終わったら、再び生徒の方を向き
「そしたら、10時から入学式だからその間は先生への質問タイムにしましょう!では、先生に質問がある人は?」
回答はニッコリしながら言うと、次々と手が上がる。
先生はそれを見ながら
「じゃあ・・・・・・ゴイルさん!」
「始業時間は9時から聞いていたのですが、それは集まる時間という意味なんですの?」
「いえ、そのまま行事や授業が始まる時間よ。」
そう答えた途端、クラス中の生徒は怪訝な表情で回答を見つめる。
今、矛盾言わなかった?とばかりに・・・。
「で、では、なぜインスティテュゥタァは始業時間の20分遅れで来たのですの?」
そう言うと、回答はにこやかな表情で答えた。
「ごめんねぇ。のんびりしていたら、遅れちゃった☆」
怪訝な表情をしていた生徒はますます疑念を持つ。
「のんびり・・・ですか?」
キャリンもこれにはさすがに驚いていた。
すると、助け船を出すようにメイサが言葉を発する。
「なぜ、のんびりされていたのですか?」
「さぁ?なんででしょうね☆」
そう答えると教室は固まってしまう。

いや、なんでって聞かれても・・・・・・。

そんな空気が流れていた。
メイサも笑顔でありながらも少し顔が引きつっていた。
すると、回答はこの質問は終わりと言うばかりに、次の質問は?と聞く。
だが、言われた生徒達の頭は少し真っ白となり動かなかったが、少し経つと一人思いつくように手を上げる。
「はい、恒さん!」
「せ、先生が受け持っている教科は何ですか?」
「私は歴史を担当しているわ。ここの学校は三年間通して、体育と歴史は必須科目だから君たちとは教室以外でも会えるわね。」
それを聞いた生徒達は

まさか、歴史の始業時間の時も遅れないよね?

と、同時に思う。
「じゃあ、他の質問は?」
そう言うと、まるで何かが解けたようにまた次々と手が上がる。
「そしたら、ヘマトさん!」
「えっと、ティーチャー(先生)の瞳は緑ですが、どこの国出身なんですか?」
「私は日本出身よ。ただ、父はイギリス人で母は日本人なの。瞳は父譲りよ。」
回答は答えた後、時計を見る。
「あっ、もう9時50分だ。そろそろ始業式の場所の校舎前に行かなきゃ。」
そう言うが、教卓から全く動かない。
疑問に思った駸邪は声をかける。
「・・・先生。・・・どうかしましたか?」
すると、回答はニッコリしながら答える。
「なんかめんどくさいから、もう少し教室にいない?」
それを聞いた生徒達は戸惑う。

この先生はもう行かなければならないと言ったのに、めんどくさいって・・・

そんな空気が流れるとキャリンが立ち上がり
「ふざけないで下さい、インスティテュゥタァ!!わたくし達を入学式に遅れさせて、笑い者にしたいんですの!!」
「ふざけてないわ、ゴイルさん。私は純粋にめんどくさいだけなの。それに大丈夫よ。いつもの事だから。」
「それはあなたがであって、わたくし達はいつも遅れている訳ではございませんわ!!」
「あら、そうなの。困ったわねぇ。もう少しゆっくりしたいのに。」
「ゆっくりしたいのなら、ここではなく入学式でゆっくりすれば良いじゃない!!」
キャリンがそう言うと、回答はそっか!と思いついたような表情をし
「それもそうね!それでは、皆さん。早く入学式会場に行きましょう!」
生徒達はあまりの展開の早さにポカンとしていたが、すぐに入学式会場に向かう事を理解すると次々と立ち上がる。
駸邪はそれを見ながら

(・・・お嬢様の・・・゛何々がダメなら、何々すれば良いじゃない″に・・・助けられた・・・。)

そう思いながら、キャリンのわがままもたまには役立つ事に驚いていたのであった。



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あきゅろす。
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