[携帯モード] [URL送信]

エシホ学園の日常
バレンタイン
白く光る満月。その光によって輝く銀世界。雪が降り積もり、キラキラと光っている。

そんな月光が降り、肌に刺さるように寒い日。
同じような建物が並んでいる寮の一つ、窓に男女二人が映っている。
一人は純白のメイド服に身を包んだ女性と窓の奥と同じ暗闇の色をした燕尾服を着た男性。メイサと駸邪がいて・・・何やら、メイドが執事に詰め寄っているように見える・・・。


「シンヤ」
ニッコリと微笑みながら言うも、眼が全く笑っていない表情を見せるメイサ。それを駸邪は無表情で応対する。
「・・・何?」
「一つ聞きたい事があります」
「・・・何?」
ただただ内容を聞こうとする駸邪。
それもそのはず。主であるキャリンお嬢様の一日のお世話が終え、休もうとした矢先に突然メイサが詰め寄ってきたのだ。本人は無表情だが、内心訳が分からず焦っている。
「お嬢様に渡すチョコレートの段取りはもう終えてますよね?もう二月に入ったのですから」
その言葉に駸邪は・・・一瞬、何を言われてるのか分からなかったが、すぐに心当たりを見つける。それはバレンタインである。


バレンタイン・・・。
日本では二月十四日に女性が意中の男性にチョコレートを渡す日とされている。
・・・が、欧米では仲が良ければ、女が男が、誰でもチョコを渡せる日になっている。要は、お世話になっている人に感謝の表しとして渡す日なのだ。だから、一方的にチョコをあげる事はもちろん、交換する事もある。
欧米では、そういう日なのだ。


メイサが話している内容・・・主であるキャリンにバレンタインデーの際に渡すチョコの手筈は済んでいるのか?という質問に気付いた駸邪はゆっくり答える。
「・・・バレンタインデー・・・一週間前に・・・「どうやら、忘れてなかったようですね。少し安心しました」
駸邪が言い終える前にメイサが話を進め、執事と距離を取る。
「ゴイル家の執事である以上、まさか主に感謝の印であるチョコを渡さなかったとあれば、それは家名に泥を塗る行為。すなわち、お嬢様の顔を穢すのと同義。そんな行為が許される訳がありません。この意味、勿論分かりますよね?」
ニコニコと笑っているメイサだが、駸邪は分かっていた。中途半端なチョコを作った場合、このメイドがどんな行為を取るかを・・・

(・・・それはキツい)

日々のメイサによる毒舌以上の行為をされるという想像をした駸邪はすぐにそれを避けたいと願う。そして、バレンタインデーに渡すキャリンのチョコレートを全力で作る事をここで固く決意するのであった・・・



2/3ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!