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エシホ学園の日常
怒声
「イエス、マイ ロード。」[御意、お嬢様。]


龍虹と呼ばれた白髪の男性はキャリンに近づこうとするが、その前に駸邪が立ちはだかる。
「・・・何をするおつもりで?」
「私の主、レムお嬢様のご命令でヘマト家の力をその女性に思い知らしめるつもりです。」
「・・・申し訳ありませんが・・・この方は私の主・・・。・・・キャリンお嬢様の執事として・・・みすみす暴力を・・・見過ごすわけには・・・参りません・・・。」
「すみませんが、私もレムお嬢様の執事としてご命令に背くわけには参りません。申し訳ありませんが、そこを退いてください。」
「・・・すみませんが・・・それは・・・聞けない相談です・・・。」
「ならば、仕方がない・・・。」
そう言うと龍虹は両手を握り、左手を表にしながら前に出し、右手は胸元まで持っていく。
そして、左足をダン!!と前に出し構えながら


「あなたを倒してから、その人にヘマト家の力を思い知らせるまで!!」


「・・・わかった。」
そう言うと、駸邪は握り締めた両手を胸元まで持っていき、足を斜め横に開いて構える。
その瞬間、龍虹が右手での突きをする。
駸邪は右に避け、次に右足のつま先で相手の後頭部を狙う。
気絶させて、勝負を終わらす算段である。
だが、龍虹はそれを右手の拳を相手の右膝にぶつけ、弾く。
駸邪はその反動を利用し右回転で半周しながら、相手の腹を狙って右足による後ろ蹴りをする。
龍虹はそれに対し、右拳で自分にくる足蹴りをぶつける。
そして、その反動で一歩後退し、また構える。
駸邪はそれを見ながら

(・・・全て反応しきるか。・・・しかも、全て拳での防御。)

と、少し驚いていた。
そして、相手が使っている武術の分析に移る。

(・・・ボクシングの使い手なら・・・まず構えからして違う・・・。・・・でも・・・拳主体の武術なのは確か・・・。)

そう考えながら、改めて構え

(・・・使っている武術が・・・わからないなら・・・弱点を探すのは自力・・・。さて、どうするか・・・。)

駸邪は思案を巡らしていると、また龍虹から仕掛けようとしたその時



「やめなさい!!!」



エントラスホールに怒声が響く。
その場にいた者たちは驚きながら誰から発した声なのか探し出す。
対峙している駸邪と龍虹はお互い向き合いながらも、目で誰の声か探す。
すると、その声の主は自分からキャリン一行とレム一行の近くに寄る。

その人の容姿は光輝いているのではと思うほど腰まであるポニーテールの美しい金髪をしており、しっかりとした面持ちで目には力が宿っており、翡翠の色をした瞳。
そして、薄桃色のドレスで自身を着飾っていた。

「あなた達、たくさんの人の面前でケンカをするなど恥ずかしくないのですか?慎みなさい!!」
その人はそう言うと、駸邪と龍虹は構えを解き、それぞれの自分の主に

「・・・いかがなさいますか・・・お嬢様?」
「いかがなさいますか、お嬢様?」

と、聞く。
だが、当の二人は怒声を発した女性を見つめ固まっていた。
そして、返事が返ってこない事に不審に思ったそれぞれの執事は


「・・・お嬢様?」

「お嬢様?」

再度、呼び掛けた。
すると、声を掛けられた二人は同時にハッとした面持ちになり、返事を返す。

「こんな事で時間を取られるのは不快ですわ。シンヤ、この方達はいいですから、早く食堂に案内なさい。メイサ。わたくしが配属するクラスを確認した後、あなたも食堂に来なさいですわ。」
「龍虹、もういいわ。これで相手にヘマト家の実力を見せつけてやる事ができたから。後は、早くクラス表を確認して食堂に行くわよ。」

そう答えると、それぞれの使用人が了承する。

「「ウィ、モン スェイグナァ。」」
「「イエス、マイ ロード。]]

怒声を発した女性はそれを確認すると立ち去る。そして、それぞれ行動に移そうとした時

「お嬢様。」

メイサがキャリンに話しかける。
「お嬢様のクラスは゛1−F″となります。」
「あら、もう確認しましたの?」
「はい。お嬢様が戦いに見とれている際に確認致しました。」
「抜け目ないですわね。」
「恐れいります。」
「それでは、メイサを入れて、改めて三人で食堂に向かいますわよ。」
「かしこまりました、お嬢様。」
そう言うと、三人は食堂に向かうのであった。



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あきゅろす。
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