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エシホ学園の日常
世界平和
奨の言葉に、駸邪は無表情のまま答える。
「・・・目的があったから」
「目的?何の目的だ?」
尖龍の質問に、駸邪は変わらず答える。


「・・・世界平和」


駸邪のその言葉に二人は固ま・・・いや、若干引いていた。
そんな二人の反応を駸邪は気にせず、問いかける。
「・・・意外だった?」
「あ、いや、意外つぅか、なんつぅか・・・・・・そんな事を考えていたのかと思ってな」
「・・・世界を見たからね。・・・その時」
その言葉に尖龍は怪訝な表情で、だけど真剣な眼差しで質問する。
「世界?」
「・・・幼少期の時・・・世界一周したんだ・・・」
駸邪の無表情で静かな語りを、二人は聞く。
「・・・世界一周したから・・・色んな国を見た・・・。・・・栄えている国・・・貧しい国・・・。・・・そして・・・争っている国・・・。・・・理由は・・・民族・・・権利・・・独立・・・様々だった・・・。・・・だけど・・・理由は違えど・・・共通している事は・・・あった・・・。・・・皆・・・苦しそうだった・・・。・・・戦争に・・・苦しんでいた・・・。・・・だから・・・傭兵になって・・・良い方に付いて・・・戦争を・・・早く・・・終わらせようって・・・思った・・・。・・・それが・・・一早く・・・終われるから・・・」
語りが終わり・・・・・・静かに聞いていた二人・・・尖龍がゆっくりと口を開く。
「・・・我が国、中国の歴史は長い。その歴史の間で何度も戦争し、血を血で洗う争いを続けてきた。何度も何度も・・・。だから、戦いはそう簡単に終わるものではないという事を知っている。それを覚悟の上で・・・言っているのか?」
「・・・例え・・・長く険しい苦しい道でも・・・俺はやるよ・・・」
「そうか・・・」
尖龍が返事をした後、すぐに奨の前にある魚が軽い焼き音を響かせる。食べるにちょうど良い頃合いになった。
奨は食べようとそれに手を伸ばし、掴む・・・掴んだのだが、口まで運ぼうとした所、上から何かに引っ張られ・・・魚を取り上げられてしまう。
不思議に思った奨は後ろを向くと、そこには・・・・・・



魚を一口で喰らおうとする大きな口があった・・・



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あきゅろす。
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