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エシホ学園の日常
疾き拳
(・・・速い!?)

駸邪がそう思った時にはもう拳を何発か貰っていた。
脇腹、溝落ち、鎖骨、頬下。
それらから痛みを感じ、口の中では微かに鉄の味がする。対して、アイスは面白そうに笑っていた。
[なんだ。思ったよりトロいじゃねぇか。それで、俺を仕留めようとしたのか?]
[まぁね]
返事をすると同時に右爪先突きを相手の側頭部狙って繰り出すが・・・脛に痛みを覚え、弾かれる。アイスはそれにニヤニヤと笑みを零していた。
[てめぇのやりたい事は分かるんだよ、サバット野郎。まさか、ここで本場のサバットに出くわすとは想像してなかったが、大した事はなさそうだなぁ]
駸邪はその言葉を聞きながら、少しずつ後ろに下がる・・・・・・が、その先は大量の箱が積み重なっており・・・追い詰められるのは時間の問題であった・・・。
[ざまぁねぇなぁ。仕留めようとしたら、逆に仕留められるのはどんな気分なんだぁ?]
その挑発に駸邪は無表情。アイスも気にせず、言葉を続ける。
[依頼元は警察だろうが、安心しろ。殺しはしない。ただし、お前から情報を貰おう。薬漬けにして、薬と引き換えに教えて貰うんだ。その後は知ったこっちゃない。そのままうちの常連客になってもらうのが良いだろうなぁ。金は絞り取らねぇとならないんだからぁ]
そこまで言うと、駸邪から軽い軽快音が響く。
・・・・・・靴が箱に当たった音だ・・・。
けれども・・・駸邪はなおも無表情。アイスはそれに少し苛立ちを覚える。なぜなら、焦り、恐怖、懇願の表情が見たいのに、相手は何も示さないからだ。
だから、アイスは声を荒げて脅そうと試みる・・・・・・その瞬間、彼の耳にそっと無機質な言葉が入る・・・


[勝手にやってろ]



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あきゅろす。
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