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エシホ学園の日常
勘違い
駸邪は走る走る。
疾風の如く。早馬の如く。
駸邪は急ぐ急ぐ。
ある場所に一直線に。大切な人の為に一直線に。
全ては美夏を想って駆ける駆ける。全速力で。前にいる人を避けては一秒でも早く行く。
そして、目的の所まで後二歩まで来たら・・・



ザッ・・・!!



美夏を守るかのように・・・その男から離れさせ、自身の背中に回りこませる駸邪。そして・・・美夏を困らせていた相手と相対し、駸邪は改めて睨みつけるように見ると・・・



「うぉ!?・・・なんだ。あの金髪の貴族の所の執事じゃねぇか。」



茶色い海パンを穿いた・・・爆乱奨であった・・・。
駸邪は彼を視界に入れた瞬間、またこいつかよ・・・と呆れはてる。どんだけ女絡みで俺に関わってるんだと・・・
「あ、し、駸邪!違うの!!この人はあの・・・」
すると、美夏が困ったような表情で駸邪に何か訴えたいようだが、それが言葉にならないのか黙ってしまう。彼はそんな彼女の反応を見て、多少頭を混乱させてしまう。一体これはどういう事なんだと・・・・・・そう思っている時に美夏の様子に見兼ねたのか奨が淡々と語り出す。
「いやよ。その子が困っているような感じでここに立っていたから、どうした?って話を聞いたんだよ。そしたら、ある人に会いたいけど、会う勇気が出ないって言ったからよ。俺はそれに迷ってるんなら会った方がいいんじゃねぇか?って言った後になんなら俺もついていくぜ?って言って、彼女がどうしようか考えている時にお前が来たんだよ。」
話を聞いた駸邪はこう思う。要するに俺の勘違いだった、と。てっきり、ナンパされて困っていると思って、来てみれば実は美夏は奨に励まされていたのだ。
前までの彼であれば、確実に口説いていると駸邪は判断できたが・・・前の図書室前の一件で奨はもうナンパ男ではないという事を知っている。
そして、今は・・・美夏の反応と奨の言葉。これらを元に駸邪は改めて場の状況を考えると・・・顔は無表情であるが、体の内が熱くなりとても恥ずかしい思いをする・・・
「・・・そう。・・・俺はてっきり知り合いが・・・ナンパされてると・・・思って・・・」
「知り合い?彼女の知り合いなのか?」
駸邪の言葉が意外だったのか怪訝な表情で話しかける奨。すると、相手は頷き・・・そっと、美夏の方を向く。不安そうな表情で駸邪の背中にしがみつき・・・困ったように彼を見ていた。
そんな二人の姿を気にしないと言わんばかりに続けて奨は口を開く。
「それじゃあ、彼女が言っていた会いたい人ってのは?」
「こ・・・この人です・・・」
そうおずおずと・・・緊張気味に美夏は答えると・・・・・・奨は合点がいったのか分かった表情をする。
「そうか!なら、ちょうどいいじゃねぇか!あそこにちょうど休める場所があるからよ!そこで話せばいいんじゃねぇか?」

そう奨が指差した所は・・・カキ氷や焼きそば等が売っている売店の前にある白いビーチチェア。そして、同じ色のテーブルに、その真ん中を通して日除けのビーチパラソルが砂に刺さっている。

それを見た駸邪と美夏は焦る。来たばかりなのに心の準備が・・・と、まだ言う勇気が・・・と思いながら。だけど、そんな事までは知らない奨は二人の背中を押し、そこまで行かせるのだった。
・・・・・・一緒に歩きながら・・・



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あきゅろす。
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