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エシホ学園の日常
道違い
「よいか?人類が知恵を身につけ争いが始まるようになってから現代まで人は己体一つで戦い続けているのである!!『銃』は技術の発展に過ぎん!!それを゛ダン″も他の奴らもこれからの戦争の主体の武器は『銃』と言って、そればかりの訓練に専念し体はただ鍛えるものになってしまった。最後に頼れるのは己の体一つというのに、そんなものに頼ってしまうとは・・・。」
ジャンは悲しそうな表情をしながら、キャリン達に背を向ける形で外の景色を見る。
すると、駸邪が先ほどの話で気になったのか一つ質問する。
「・・・将軍とは・・・仲が悪いのですか・・・?」
「ダンとは仲が悪いわけではない!」
理事長は真面目な顔で振り返り、また語り出す。
「ただ・・・・・・道が違っただけなのである。」
「・・・道が違った?」
「うむ。全ての始まりはドイツが゛元″祖国フランスに攻め入った時にダンと二人で軍隊に志願し、入隊してからである。我輩は『頼れるのは己の体一つ』という事を信条に軍隊武術を極めんとしたが、ダンは『戦争の主体は銃』という我輩とは違う道を極めようとした。そして、時は流れ第一次世界大戦は終わり、お互い階級が上がっていき、部下を持つようになる。当然、我輩は『軍隊武術』を主体に鍛え、ダンは『銃』を中心に訓練したのである。そして、さらに時は流れ、第二次世界大戦が勃発。゛元″祖国フランスはヒトラーが率いるドイツの勢いを止められず占領され、我ら軍人の多数はレジスタンスとしてゲリラ戦術で反抗した。我輩の部隊は接近戦で奮闘し、ドイツ兵を次々と音も無く倒していった。その為、我輩はドイツ兵から『音無』と呼ばれたが、恐れはしなかった。なぜなら、来ることが分かれば銃で反撃すれば良いからである。実際に、反撃を受け何人もの戦友を失ってしまった。ドイツ兵が最も恐れたのは、ダンの狙撃部隊。彼らは『銃』で敵兵を倒していき、兄自身も遠くからドイツ兵に戦車までも狙撃銃で撃破したため、相手からは『魔弾の狙撃手』として恐れられた。そして、戦争は終わりダンが最もフランスに貢献したという事で将軍にまで階級が上がった。我輩は大佐止まり。軍隊武術だけでは行き詰まりを感じた我輩は軍隊の道から足を洗おうと思い、そのまま辞めたのである。」
「・・・理事長。・・・一つ・・・聞いていいですか・・・?」
静かに話を聞いていた三人だったが、また駸邪が話しかける。
「何であるか?」
「・・・なぜ・・・゛元″祖国フランス・・・なんですか・・・?」



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あきゅろす。
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