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エシホ学園の日常
instituteur
「・・・・・・広いですわね。」
キャリン達の視界には壮大に広がる土地。
エシホ学園の敷地は壁で囲っているはずなのに、その壁すら見えなかった。
そして、遠くの方には噴水らしきものがあり、さらに奥には彼女たちが学ぶ所であろう校舎があった。
また、それに続く道の両側には木が左右対称に1M感覚に植えられていた。
今は春だからか、桜が満開しており桃色の花びらが散っていく。
三人はそんな光景に見とれていると
「気に入ったか?」
先ほどの男性が扉を閉めて、キャリン達に近づく。
そして、彼女達から見て噴水がある方に男は行くと、三人に振り返り
「ようこそ、エシホ学園へ。私の名は真魔 刧(しんま ごう)。科目は体育を受け持っている。ここの学校は体育は必須科目であるため、必ず会うのでよろしく頼む。」
「初めまして、真魔インスティテュゥタァ[先生]。フランスの貴族、キャリン・ゴイルでございますわ。」
「キャリンお嬢様のお世話をさせて頂いております。メイサ・ルーンでございます。」
「・・・キャリンお嬢様の・・・執事でございます・・・守人駸邪です・・・。」
キャリンはドレスの裾を掴みながら体全体で一礼し、メイサと駸邪はそのまま上半身だけで頭を下げる。
「よろしく。それでは、学園案内をしよう。」
真魔はそう言って歩き出すと、三人はついていく。

噴水に着くと、そこは憩いの場なのかベンチが中央を囲むように置かれており、噴水を中心に道が十字路になっていた。
「ここは見ての通り、生徒達の憩いの場だ。休憩に使う者もいれば、昼寝に使う者もいる。簡単に言えば、自由に使って良い場所だ。」
「・・・噴水が芸術的ですね。」
見て感想を述べる駸邪。
その噴水は中央に自由を表しているのか鳥の像が四方に向いていて、真ん中には右手に剣。左手に本を持った銅像が立っていた。水は鳥の後ろから上に向けて出ている。

ちなみに、日本の噴水は欧米と比べて地味である。
理由は考え方の違いだ。
日本には鹿威しという竹筒に水を引き入れ、溜まった水の重みで筒が反転して水が流れ、元に戻るときに石を打って音を出すというものがある。
元々は田畑を荒らす鹿や猪、鳥などを脅すために作られたが、時代が流れるにつれ風情として楽しむようになる。
その楽しみ方としてはカコンという石を打つ音を楽しむ為、それに日本人は創意工夫してきた。
だが、欧米人はそれに理解できなく、例え設置したとしても観賞用に使っており音を楽しんでいない。
対して、噴水はヨーロッパで観賞用に作られた為、色々見た目に創意工夫している。
それは芸術の域に入っていると言ってもいい。
だが、日本人はそれに理解できなく、水の噴射の仕方一つでもただ上に上がるタイプが多く、欧米と比べてワンパターンである。
それに、例え噴水を観賞するにしても見た目ではなく、音を楽しんでいる人が多い。
この゛見る″と゛聞く″という考え方の違いで、日本の噴水は欧米と比べて地味なのだ。

それを知っていた駸邪は日本にしては珍しく見た目に凝っているのでそんな感想を洩らした。
「そうだな。だが、時間が経つにつれ、噴水から水が出る量が多くなる。そうなると、今よりもっと芸術になる。ちなみに、君たちの寮はあそこだ。」
そう真魔は門の道から見て、右側の道に指を差す。
奥には、大きな建物がある。
「こっちが体育館だ。」
次に真魔は、左側の道に指を差す。
遠くに寮の二倍ぐらいのドーム状の建物があった。
「そして、あれが校舎だ。今からあそこに案内する。」
真魔はそう言うと歩き出し、三人は再びついていく。

校舎に着くと遠くてわからなかったが、その外見がわかるようになる。
建物は赤茶色の三階建てで部屋が多いのか横に広いように感じられる。
そして、窓が一階、二階、三階と隙間なく並んでいた。
ただ、気になるとすれば中央にちょこんと四角いものが出ている事だ。
真魔はそのまま中に入っていき、三人も建物の外や中を見ながら入っていく。

中に入るとまず広いエントランスホールがあり、中央に大きい掲示板があるのみで他は何もなかった。
「一階には食堂、一年生の教室。二階には二年生の教室。三階には三年生の教室がある。他の部屋は学科によって、随時変更するので注意するように。職員室はなく、その学科に関係する部屋に先生がいると思ってくれ。そして、四階には一部屋しかなく、そこは理事長の部屋となっている。今から、理事長の部屋に案内する。そこで、学園の事などを聞いてくれ。」
真魔は三人にそう言いながら廊下を歩いていき、キャリンは珍しいのかあちこち見ていて、メイサと駸邪は前を見て進む。

階段を上っていき、四階に行き着く。
そこには大きな両扉があり、その上に『理事長室』と書かれていた。
真魔はその扉にノックし
「理事長。真魔です。今年より入学されるキャリン・ゴイルを連れて参りました。」
「うむ。入れ。」
部屋から理事長の了承の言葉を聞くと真魔は三人に道を譲る。
それを駸邪が前に出て、片側の扉のドアノブに手をかけ回し、開ける。
それをしたら、駸邪はドアの隅に寄り
「・・・キャリンお嬢様、どうぞ。」
そう言われたキャリンは中に入り、続いてメイサが入室する。
真魔から入る素振りがなかったため駸邪は扉を閉め、正面を見ると・・・



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あきゅろす。
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