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エシホ学園の日常
壁に耳あり、障子に目あり
「・・・お帰りなさいませ・・・キャリンお嬢様・・・」
キャリンに声をかけられると同時に・・・一礼し、出迎えの言葉を口にする駸邪。そして、顔を上げるとすぐに今の自分の現状を話し出す・・・
「・・・今・・・美由が・・・このような物を・・・生徒に配っていたので・・・」
そう無表情のままそう言って・・・美由から例の新聞を取り、キャリンに渡す。手渡された彼女はそれを開き・・・瞳を左から右に、また左から右にと軽く目を通し・・・
「なるほど・・・今日、生徒会長が言ってました沖縄旅行に関してですわね。」
「しかし、変ですね。伝えられたのは今日なのに美由様の鞄を見ますと百枚以上はありそうです。」
「ふふん♪その前日から私はその情報を手に入れてて、先に作っていたんだよ♪」
「情報?一体、どうやってですの?」
美由は自慢そうに笑っている顔で言うと、キャリンは怪訝な表情から目を見開いて驚く。それに相手はますます笑みを深める。
「壁に耳あり、障子に目あり。どこで情報が漏れるか、分からない。それを私は「シンヤ、どういう意味ですの?」
美由が調子良く説明している時にキャリンが訳が分からないと言わんばかりに、駸邪に聞く。どうやら、例えが彼女にとって分かりにくかったようだ・・・
「・・・要するに・・・どこで聞かれたり・・・見られているかは・・・分からないという・・・事です・・・」
「なるほど。では、ミユはそれで情報を得たのでございますのね。」
「まぁ、一つの方法としてね♪」
そうニッコリと笑う美由を見て、駸邪はこう思う。絶対に他の方法だ・・・と・・・
「ねぇ?」
そんな時に・・・駸邪に声をかける人物がいた。同い年なのにどうしても見上げてしまうお嬢様・・・レムである。
「龍虹はどうしたのよ?一緒じゃないの?」
「・・・申し訳ございません。・・・私は急いでいたので・・・はぐれてしまいました・・・」
「そう・・・はぐれるなんてドジねぇ。」
レムはそう言いながら、龍虹がいないからか、不満気な顔を表に出す・・・その隣では自分の主の反応を見ながらだらしなく笑って喜んでいるメイドがいるが、彼女は気付かない。その他の一行の中の四人中二人は引いているにも関わらず・・・・・・すると、キャリンが待ち切れないと言っているような表情で怒った顔で口を開く。
「それよりもシンヤ。さっさと行きますわよ。でなければ、夕食に間に合わないですわ。」
「・・・何をですか?」
突然のキャリンの声かけに小首を傾げ分からない表情をする駸邪。その瞬間・・・


「図書館に行って、沖縄に関して調べるのですわ!!!」


相手の反応に怒り、怒鳴ってしまうキャリンであった・・・



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あきゅろす。
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