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エシホ学園の日常
変わりつつあるお嬢様
「・・・お嬢様。」
「何かしら、シンヤ。」
キャリンは執事に対し、詩が書かれた本を見ながら返事をする。それに駸邪はあまり気にせず無表情で続けて声をかける。
「・・・他の作品は・・・見に行かれないのですか・・・?」
「見に行きますわ、昼食を食べた後に。シンヤ。その後は確か体育館で音楽が披露されますわね?」
キャリンは顔を執事に向けないでそのまま質問すると、駸邪は急ぎ内ポケットから『エシホ芸術祭』のパンフレットを取り出し、見る。・・・・・・確かに午後から体育館にて音楽が披露されるという事が書かれていた。
「・・・その通りでございます。」
「よろしいですわ。だから、今はお昼時になりますまでここで詩を読みながら、ゆっくりしますわ。午前は興味の無い事ばかり披露されますからつまらないですわ。」
そうキャリンは言うと・・・駸邪は呆れてしまう。せっかくの芸術祭なのに・・・と。
・・・・・・だが、それと同時にある事に気付く。それは・・・・・・



謙虚になった事・・・



今までのキャリンだったら、時間が来るのを我慢できずに早めるようわがままを言うところだが・・・それをせずに自分なりに暇を潰す・・・・・・駸邪が知っている以前のキャリンでは絶対にあり得なかった。

(・・・フェネ生徒会長に・・・出会ってから・・・確実に・・・変わってきている・・・)

駸邪はそう思いながら、キャリンの後ろ姿を見る。彼の淀んだ青い瞳に映る彼女の後ろ姿は前と変わらない。だが、中身は・・・・・・ほんの少しずつだが・・・・・・徐々に良い方向に変わってきている。駸邪はそれに・・・かなり驚いていた。


思えば、京都でのキャリンは愚痴は溢していたが、不満を漏らしてわがままを言うことはあまり無かった。というより、彼女にしてはよく我慢していた方だと駸邪は思っていたが・・・もしかすると、そこからもう変わりりつつあったのでは?と考える。今日・・・キャリンが描いた作品のように・・・・・・だんだんと・・・























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あきゅろす。
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