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エシホ学園の日常
リラックス
「わかりましたですわ。シンヤ、メイサ、理解しましたかしら?今度、描く時はフェネ生徒会長が仰いました点に気をつけながら描きなさいですわ。」
キャリンは少し顔を後ろに向け、フェネから絵の評価を受けた二人に口元を弛めすました表情でそう言う。対して、従者は・・・主のその予想外の言葉に驚き、つい目を丸くしていた・・・・・・が、人前でその表情をいつまでもしていたら、今度こそ罵声を浴びせられると思い出した二人は・・・駸邪は無表情で、メイサはニコニコ顔とそれぞれ違う表情をして゛ウィ、モン スェイグナァ″と返事する。それを聞いたキャリンはフェネに向き直り、ニコッと微笑む。
「それではフェネ生徒会長。わたくし達はこれで。絵の評価、ありがとうございましたですわ。」
「いいえ。それでは、『エシホ芸術祭』を楽しんでください。」
「はいですわ。明後日のフェネ生徒会長の絵を楽しみにしますですわ。では。」
キャリンはそう言うとドレスの両端を掴み、そのままの体勢で体全体で軽く一礼する。そして、その場から振り返ったら歩き出し、従者はそれについていった・・・








◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆









「やはり、ここは静かで良いですわね。」
キャリンは学舎から左に位置する森の中で・・・白い椅子に座り、同じ色をした綺麗に磨きあげられた丸いテーブルの上にはコーヒーカップが置かれていた。そして、キャリンは只今・・・詩を読んでいた。後ろに従者を待機させながら・・・


あの後、キャリンは駸邪にこう言った。詩を読みたいから、どこか静かで心が安らぐ場所はないかと。
そう言われた駸邪は困る。なぜなら、その場所がどこにあるか知らないからだ。しかも、今は『エシホ芸術祭』の最中。いつもより学園内は活気に溢れており、どこもかしこも騒がしい。その為、駸邪は・・・どこかないか、思考を巡らせ゛・・・そうですね″と答える時間を稼ぎながら、考えていると・・・・・・突然、メイサがニッコリと口を開く。
゛そういえば、『絵』の授業をしている場所はいつも静かですよね″と・・・。
それを受けたキャリンは、そういえば・・・と今思い返せば確かにそうだと思い出す表情をして、メイサの言葉を肯定する。その時、主の希望する場所に該当する情報を聞けた駸邪はすぐにそのチャンスを逃さずそこを勧める。そして、すかさずキャリンとメイサの部屋から詩と椅子とテーブルとティーセットを持ってくる事を言うと、主は了承。そこで、一行は別れる。駸邪は言ったものを取りに寮へ。キャリンとメイサはその森にと・・・。
そして、予定の場所に先に着いた二人は十分ほど待つと・・・・・・両手が寮に取りに行ったもので塞がれた状態の駸邪が来る。その時の執事は・・・・・・詩以外の物は少し大きいため、持つのに大変そうだったが・・・駸邪にとっては朝飯前である。なぜなら・・・戦場では今駸邪が持っている物より数倍重いものを持って、しかも長い距離を走らなければならない。それと比べたら・・・ティーセットと椅子とテーブルを一気に持っても彼には軽い方なのだ。


それで合流した後、駸邪がテーブルと椅子を設置し、メイサがコーヒーを淹れ、キャリンが執事の誘導で座り、今に至る。その光景は・・・キャリンはリラックスしており、まるで休みを堪能しているような姿であった。
そんな主を見て、駸邪は思う。せっかくの芸術祭なのに見に行かないのかと・・・。
だが、それも仕方ないかとも考える。なぜなら、今日のこの日の為に休みも利用して絵の創作をしていた。いわば、好きなことを我慢してずっと動いていたと言っても過言ではない。だから、やっとそれに解放されたのだから、少しぐらい自分の時間に集中したいというのも仕方ない。だが・・・今、駸邪の脳裏にはある言葉が浮かぶ。

それはフェネの゛『エシホ芸術祭』を楽しんでください″というもの。

主催者でもあるからそういう言葉が出たかもしれないが、もし今日の芸術祭で展示された作品の中から何が良かったと聞かれたら・・・・・・キャリンの性格上、正直に詩を読んでいた事を言うだろう。
駸邪はそれに憂いを感じていた。
キャリンからしたらそれでいいかもしれないが、フェネの主に対しての評価が心配なのである。どういうものになるかまでは彼は想像できていないが・・・必ずしも良いものとは言えないだろうと感じる。

それを一応防ぐべく・・・駸邪はキャリンに声をかける。



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