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エシホ学園の日常
見えない死神
(どうして、こうなったんだろう・・・?)

駸邪は眉間にシワを寄せ、一生懸命その事に関して頭を巡らせながら・・・・・・乗っている人達に全く震動を与えない高性能なエレベータの中で立ちつくす・・・・・・左腕にマリーに抱きつかれながら・・・


事の話は京都を一望した後・・・・・・帰路についた一行はそのままタクシーに乗る時、キャリンがすました表情で駸邪に向かってこう言ったのだ。





「ちゃんと、その方をホテルにまでエスコートなさいですわ。」





そう言われた駸邪は一瞬、目を丸くするもキャリンを不快にさせないようすぐに無表情に戻し、゛ウィ、モン スェイグナァ″と返事する。心の中では゛勘弁してよ・・・″と思いながら・・・。
それを聞いたマリーは歓喜し、゛ちゃんとエスコートしてね、ダーリン♪″と言って駸邪をギュ〜☆と抱きしめる始末。その他の人達の反応はというと、花凛は゛不潔・・・″と顔をしかめ、裾で口元を抑えながら見て、レムは全くの無表情で興味無しの態度を取る。代わりに、その従者である龍虹は゛駸邪さんとマリーさんって、やっぱり付き合っていたんだ・・・″と勘違いしてしまう。それは優達も同様。駸邪は残念な事にその場にいる六人の内三人から付き合っていると誤解されてしまうハメになってしまったのだ。
ちなみに、なぜキャリンは自分の執事にマリーをエスコートするように言ったかというと、女性一人ただ帰らすのもゴイル家の印象が薄くなるだけなので、ここは覚えてもらうために従者を使って送ってあげようと考えたからである。その結果・・・ちゃんとマリーは『キャリン・ゴイル』という名前を覚えたので、キャリンの思惑通りになる。駸邪にとってはたまったもんではないが・・・


「着いたわよ、ダーリン♪」
マリーはそう言いながら、駸邪の腕を引っ張り・・・最上階のVIPルームと呼ばれる階に着き止まったエレベーターから出る。そして、マリーの部屋であろう扉の前に着いたら、彼女は後ろポケットに入れていた、金属部分に何か彫ってあるブランド物の財布を取り出す。そして、そこからカードを取り出し・・・扉の鍵を開ける為のカードキーにそれを差し込む。すると、部屋に通じるドアのセキュリティが認証し、解錠される。
それを見た駸邪は・・・・・・もう自分のやるべき事はやったと思い、マリーに別れを告げる。
「・・・それでは帰ります。」
「えぇ!?一緒に泊まるんじゃないの!?」
だが、そう簡単に離さないのがマリー。彼女は駸邪がそう言った瞬間、目を丸くし驚きながら言う。対して、彼は少し眉をしかめながらなぜ帰るのか説明する。
「・・・お嬢様からは・・・ホテルにまで・・・エスコートしなさいと・・・言われた・・・。・・・泊まれとまで・・・言われてないから・・・お嬢様の元に・・・帰らなくてはいけない・・・。」
「いいじゃない。少しぐらい、命令に背いても。」
マリーはそう言うが、駸邪は知っている。キャリンの命令に背いた行動をした場合、彼女がどれくらい怒るかを・・・・・・。


例えて言うなら、彼女の普段の怒りを雷が落ちたと表すならば、逆らった場合は大都市が隕石によって壊滅してしまうほどの激怒である。要は命令に背いた事をキャリンに責めて責めて責められて、骨の髄にまで責められ最後は彼女の声を聞いただけでノイローゼを起こしてしまうほどである。

駸邪は思う。そんなの絶対に耐えられないと!!
「・・・悪いけど・・・お嬢様の命令は・・・絶対に逆らえない・・・。」
駸邪はそう言って背を向ける・・・が、その瞬間彼は立ち止まり、マリーの方を向く。
「・・・帰らせてよ。」
「ダ〜メ♪帰らせないんだから♪」
それを聞いた駸邪は再び前を向く。一見、彼の視界には何かを遮る物はない・・・・・・だが、よくよく・・・よーく見てみると、何か・・・ピアノ線より細い線が駸邪の帰ろうとする目の前の通路に張り巡らせていた。・・・ワイヤーである。
「・・・゛見えない死神″マリー・ヤーグ・・・・・・その通り名に・・・ますます磨きが・・・かかっているようだね・・・。」
「そうよ、あれから三年だもの。腕が上がっていても不思議じゃないでしょ?」



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