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エシホ学園の日常
実践
「さて・・・・・・そろそろ参りますか?」


数時間後・・・・・・雑談をしつつ景色を楽しんでいたら、太陽が地平線に沈みかけ、京都を茜色に染めていく・・・・・・その景色は昼とは違い、街中に影が出来て・・・新たな景色を生んでいた。
その時、もうそろそろ頃合いかと判断した花凛が家に帰ろうと駸邪達を除いた一行に声をかける。


「そうですわね。帰りが遅くなりましたら、メイサも心配しますしカリンのお母様にもご心配をかけますわ。夕食も用意してくださってると思いますし。」
「そうね。せっかくの夕食を私達の帰りが遅れたせいで冷めてしまったらいけないものね。」
「それじゃあ、帰りましょうか。」
各々のお嬢様方がそう言うのを聞いた花凛は゛では・・・″とニッコリとした笑顔で次に駸邪達に声をかけよう・・・・・・とした時だった。
「いいですわ。」
「えっ?」
「私達が帰ろうとする素振りを見せれば、あちらもお気付きになりましょう。行きましょうですわ。」
「ですが・・・」
心配そうに一度駸邪達の方を向き再びキャリンを見る花凛だが、フランスのお嬢様は先ほどからしているすました表情を変えない。
「それぐらい、気付かなかったら執事失格ですわ。参りましょう。」
そう言われた花凛は・・・・・・しぶしぶながらも゛分かりました″と少しぎこちない笑顔を一行に見せて、帰りの先導をする・・・・・・・・・その時、駸邪が一行が帰る所を見て、半ばマリーを引き摺りつつ追いかけてくる。
それを見た花凛は安心したのか微笑み、キャリンは゛当然よ″と分かる自信満々の顔をしていた。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「ただいま帰りました。」
花凛が本邸の玄関に入ると同時に中に向かって、帰ってくるまでの会話が楽しかったのかその余韻を残しながら、そう言う。すると・・・・・・廊下の突き当たりから出てきたのは・・・
「お帰りなさいませ。」
白の帯でしめた、薄い桃色の着物を着たメイサが出てきて、ニッコリとそう言う。そして、その後ろから続けて麗香が彼女と同じ服装で同じ言葉を花凛達に声をかける。
それに対し・・・・・・花凛はもちろんの事、キャリンとレムも目を見開きながら驚いていた。
「どうしたのよ、麗香。」
「少し日本の方の動きを勉強しようと・・・・・・」
「あなたもそうなんですの、メイサ?」
「はい、動きを勉強しようと実践してみました。」
メイサはそう言いながら・・・着物を着た二人は綺麗に正座をする。それは早乙女家にいる使用人の人達と負けず劣らずの・・・・・・美しさがあった・・・・・・・・・そして、その様子を見ていた花凛はキョトンとしていたが、すぐにクスクスと嬉しそうに笑う。
「お二人とも、綺麗な正座で良いですよ。」
「「有り難きお言葉でございます。」」
二人は綺麗な日本語を使いながら、頭を四十五度に頭を下げ礼をする。そして、顔を上げると・・・・・・メイサは一度少し目だけを左右に動かして、怪訝な表情で質問する。


「あの・・・・・・シンヤが見当たらないのですが・・・」



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あきゅろす。
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