青春を謳歌しようぜ!(学パロ) 俺の名前はアルヴィン。 この敷地面積がもう1個の街レベルサイズの超名門校・私立エクシリア学園に赴任してきた新任教師だ。 しかし、その実はエクシリア学園の自称ライバル校・アルクノア高校から送り込まれた、スパイなのだ。 エクシリア学園を陥れるために、アルクノア高校理事長で叔父でもあるジランドの命でやって来たワケだが。 「ヒマな仕事寄越しやがって…ったく…」 ぶっちゃけやる気はない。 エクシリア学園を陥れたとしても自分にはなんの得もないし、第一ジランドのことははっきり言って嫌いだ。 そんなヤツの命令で動くなど不愉快極まりない。 まあ知り合いのプレザもいるし退屈はしないだろう、一応あれでも俺の叔父だし…面倒くさいがちゃんとするか…と保健室で一服しながら気分を入れ替え。 そしてさっそくプレザには悪いが愚痴を聞いてもらおうと思って来たのだが、保健室はもぬけのから。 戻ってくるまで待っているワケだが。 「何やってんだ、プレザのヤツ…」 急に怪我人来たらどうすんだ、と煙草の火を消しながらちょっとお小言。 もう待ち疲れたので今日は帰るか、と重い腰を上げようとした、その時。 「…失礼します。プレザ先生、いらっしゃいますか?」 女にしては低め、しかし男にしては高めの声の人間が入ってきた。 怪我人なら残念だったな、と思いながら扉のほうへ目線だけ動かすと、そこにいたのは大量のファイルやプリントを抱えた生徒が驚いたような表情でこちらを見ていた。 「あ、あれ?プレザ先生…というかあなたは確か…アルヴィン先生、でしたっけ?」 ズキューン!という音が俺の脳内に鳴り響いた。 俺は目を見張った。 今俺の目の前にいるのは、本当に男子生徒かと見紛う程に綺麗な顔立ちの少年だった。 艶やかな黒髪は首もとで短く切りそろえられ、ややくせっ毛なのか少しはねており、僅かにかかった前髪からは澄んだ琥珀色の大きな瞳が黒縁眼鏡を通して覗いている。 体つきは華奢で身長も低め、カーディガンの袖は少し長めで学校指定制服のチェックのパンツがよく似合う。 そこがまた、なんかかわいい。 「あの…」 ハッと我に返ると、彼は目の前まで来ていて黙り込んだ俺を不審に思ったのだろう、訝しげな表情で小首を傾げていた。 近くで見ると益々キレイだ、肌なんか白くて触るとすべすべもちもちしていることだろう。 しかもなんかいい匂いがする。 「大丈夫ですか?具合が悪いとか…?」 「あ、いや、大丈夫だ。プレザ…先生なら俺も見てないぜ、結構待ってんだけど…」 「そう、ですか……まあ、デスクに置いてれば分かるよね。じゃあアルヴィン先生、失礼しました。さようなら」 なんとか表面上は俺落ち着いてますよ、な雰囲気を取り繕い、少し距離をとるために半歩後ずさる。 そんな俺の心の葛藤を知らない男子生徒は、抱えていたファイルたちをデスクにどんっと置くと、微笑みを浮かべてしっかり一礼し、保健室から出て行った。 下校時間になり、ちらほら生徒が帰って行くのをやることもないので保健室からなんとなくボーっと眺めていた。 とはいえ頭の中は先程の男子生徒のことで頭がいっぱい、面倒くさいから家に帰ろうとしていたこともすっかり忘れ、ただボーっとしていた。 すると、門の近くにえらく派手なランドセルに帽子を被った、ツインテールの少女が少しおどおどしながら小さくあたりを見回して立っているのが見えた。 ランドセル、そして制服が白いので、初等部の子だろう。 なぜ初等部の少女が高等部に? 疑問に思ってジーッと眺めていると、少女が控えめに、しかし嬉しそうにぱあっと頬を染めた。 なんだ?と思いそのまま見ていると、黒髪の青いカーディガンを着た、今俺の脳内をほぼ占めている男子生徒が小走りでやって来た。 2人は何か話をしたあと歩き出し、少女が嬉しそうに微笑みながらその生徒と手をつなぐと、その生徒も穏やかに微笑み、少女の頭を優しく撫でる。 その少年の微笑みを、横顔だったが、見た瞬間、 「……!!」 バキューン! 今俺の頭上に効果音が出ているならそう鳴っていたはずだ。 男アルヴィン・26歳。 一目惚れ、いや二目惚れか、しかも男、年下、生徒に、遠目なのに、いい歳なのに。 ヤバい、何あれ、可愛い。 急にこれからの学園生活が楽しみで仕方なくなってきた。 もうスパイとかいう本来の仕事は俺の頭からキレイさっぱりどこかへ行ってしまっていた。 とにもかくにも、早くアイツの名前と学年とクラス、欲を言えば詳細なプロフィールが知りたい。 柄にもなく興奮してソワソワしている、ああ俺って分かりやすいヤツだな、現に今俺は椅子に座って意味もなくクルクル回っている。 そして保健室に戻ってきたプレザに冷たい視線で吐き捨てるように気持ち悪いと言われるまで、あと少し。 学パロやっちゃった! 続くかどうかはわかんないよ! 学園衣装好きです、いいよねあれ。 X2では衣装はどうなるんでしょうね? 引き継げたらいいな〜…。 2012/9/26 [*前へ][次へ#] |