前編(V.B企画!!)
2月14日。
それは、チョコレートの年間消費量の4分の1が消費されるという、お菓子会社の儲けデー。
…まぁ、恋する乙女の告白デーとも言う。
たぶん後者の理由だろう、男子は妙にソワソワし、女子のオシャレには磨きがかかっていた。
あ、ちなみに楠木も今日は二つ結びだ。…結構かわいくて、似合っている。
いつもと違うって、新鮮でいいよな。
俺は、隣で静かに本を読む楠木の横顔をじっと見ていた。
…この時間が一番幸せかもしれない。
そんな幸せに浸っていると
「佐野ー!!おまえ、呼ばれてんぞ。」
愁「おぅ、今行く。」
ぶっ壊された。
…誰だよ、俺の幸せな時間ぶっ壊したやつ。
ちょっと顔をしかめながら、ドアに向かった。
「あ、あの!佐野君ですよね…?」
愁「…あ、はい。」
俺を呼び出したのは意外な人物だった。
や、もう意外すぎてビックリしたよ。
小「えっと、坂下小春…です。」
愁「あぁ、知ってます。」
だって、学年のマドンナだぜ?考えもしないだろ。
愁「えっと…、俺に何か?」
小「あ、あの…。その、えーっと…////」
急に顔を赤くさせて、うつむく坂下。
…うん、野次馬ハンパない。
小「…これ」
愁「?」
小「…これ、受け取って下さい!!」
バッ、と勢い良く差し出されたのは、ピンクのラッピングがほどこされたチョコ。
は、チョコ?
愁「え、俺に?」
小「…、はい///」
コクリと小さく頷く坂下。
すると、ザワザワと野次馬達が騒ぎ始めた。
「うそっ!?坂下さんって佐野のこと好きだったの!?」
「えー…俺、坂下さん狙ってたんだけど。」
「意外すぎねぇ?」
「驚きだよなぁ…。」
うん、俺が一番驚いた。
マドンナにもらえて嬉しいけど、どうせだったら楠木からもらいたかったな。
チラリと楠木を見ると、パチりと目が合う。
藍「…良かったね。」
小さく笑うと、楠木は本に目を戻す。
その一言に、俺は鈍器で殴られたような衝撃が走った。
…バレンタイン、最悪だ。
ラッキーカラーはピンク??
(なんてこった…!!)
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