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幻想
1




”ぼくはしょーらいぜったいかいとーになってやるんだ”





―――それは子どもながらにした約束だった。



”フフッ、なら私のことを盗んでくれるかしら、セイ”





―――契約ともいえる、決して破ってはいけないもの。



”まかせてよ”





まだその時は気付いていなかった……。



”それならセイが一人前の怪盗になれるようにおまじないをしてあげるわ”

”うんっ”





そして少女の顔が段々と近付いてきて…。





「…ま」


………。





「……っさま」





「起きて下さい!セイ様!」

自分を呼ぶ声が聞こえ目を覚ますと目の前には男の顔が後僅か数pといったところにあった。

「……っ!?」

反射的に身体が動いていた。

”ドンッ”

「っつたあ!」

後頭部に鈍い痛み。
どうやら行き過ぎてベッドヘッドに頭をぶつけてしまったようだ。道理で痛いわけだ。でもそのおかげで完璧に眼が覚めた。

「…大丈夫ですか」

別に相手が悪い訳じゃないのは分かっているのに妙に苛立たしい。
それは相手が言葉とは裏腹にこれっぽちも心配している感じがなく寧ろ呆れた眼差しでこっちを見ているからだろう。そっとぶつけたところを撫でてみると微妙にタンコブが出来ていた。
まあいい音してたからなぁ。





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あきゅろす。
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