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お題
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いつから狂い初めたのかは分からない。
初めて出会ったのは十の歳。
近所の教会に最近保護されてきた孤児がいると母に聞いた。

それがハスラだった。

兄弟のいない俺にとってハスラは兄みたいな存在でまた、田舎な村のどの子どもたちとも違った垢抜けた存在なハスラは羨望の対象だった。
表立って俺たちは遊んだりはしなかった。時々ふとしたことで見るハスラの姿を俺は遠くから眺めているだけだった。
まるで恋をしているかの如く。
そんな俺をハスラは気付いていたようで、時折こっちを見てふんわりとした優しい笑みを浮かべていた。その笑みを俺はまるで天使のようだと思っていた。

そんなやり取りを重ねて一ヶ月程経ったとき初めてハスラと口を交わした。俺が教会の帰り道の山道で転び怪我を負ったときだ。
たまたまハスラがそこを通り動けないでうずくまっている俺を見つけ声をかけてくれたのだ。
初めてハスラと口を交わしたのが嬉しく俺は喜喜して家に帰って父にそのことを告げた。
そうしたら父は珍しく声を上げて怒ってきた。ハスラと俺が会うのを父は良し思わないのだろう、と子どもながらにも解釈して次の日から教会に通うのを控えることにした。





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あきゅろす。
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