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お題
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それはどこか遠い世界の美しくも悲しい物語……。





空から降る一億の星





そこは都から何里と離れていない山奥。鬱蒼と生い茂った草木が辺りの静けさを増していた。日中だというのにそこは暗く、まるで極夜のようであった。

そんな山奥に蹄の音が響いた。
それはどうも一頭ではなく二頭のようだ。その二頭の馬が近付いてくるにつれ、明らかになっていく馬上の人。軽やかに馬を進める二人の出で立ちは、国の重要職に携わる者のような燐とした物腰に華やかさの中に落ち着きがあり誠実さを感じさせる衣装であった。しかしその衣装はそれ本来が持つ美しさが欠乏していた。それは薄汚れているせいでもあり、所々刃物でやられたような綺麗に裂けた箇所のせいでもあった。
足並み揃って鳴っていた蹄の音が段々と乱れだした。一頭が明らかに速度が落ち出して二頭の差が大きくなっていた。





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