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お題
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漸く己を苛んでいた物体から解放されたイリスの女性器は、強引な挿入により酷く傷付いていた。秘所から感じる鈍い痛みに顔を歪ませているイリスを余所に、セファイドはそこを愛おしそうな目で見詰めていた。

「今、漸く兄者と一つになった」

赤と白が混じる液体がイリスの脚を伝い、床へと流れ落ちる。
その様を見ながら、セファイドは最早抵抗する気力の無くなったイリスの下腹部を優しく撫でた。

「我ら二人の血を継ぐ子は、歴代一の力を持つ強い子となるだろう」

セファイドに腹部を撫でられながら、茫然自失に空を見ていたイリスはこの言葉に理性を取り戻した。
セファイドは、己との子を望んでいる。同じ父と母を持つ筈である己との子を。
それは明らかに禁忌の子だった。そのような子どもを誕生させる訳にはいかない。

「―――ッ!」

イリスは死を覚悟した。
このまま身体の自由を禁じられ、セファイドに凌辱され続けられるくらいならば、いっそ潔くこの命の終幕を自ら引いてしまおう。さすれば、血の繋がった兄弟間で禁忌を行わなくても済む。そう、するならば早い方が良い。今ならばまだ、手遅れにはならない。

思うや否や、イリスは舌に歯を立てようと決意した。
肉厚の舌に歯が突き刺さり、勢いよくそこを境に分断する。
咥内は血に塗れ、短く巻き上がった舌により窒息する筈だった。

「………何故…」

イリスの決意は無駄に終わった。
自殺は未遂に終わったのだ。いや、そもそも舌を噛み切ろうとすることすら出来なかったのだ。

「――兄者。今や兄者の命でさえ、私の手中にあることを忘れなきよう。先程、力を発動した時に、兄者が自ら命を絶たぬよう制約を設けた」

イリスの決死の表情に、何が行われようとされていたのか察したのだろう。セファイドは腹部を撫でる手を止め、困惑に揺れるイリスの瞳を真っ直ぐ見詰めた。
そんなセファイドの視線を受け、イリスは己が弟の執心から逃れる術がないことを悟った。――――そして、深い絶望に見舞われた。

自ら死ぬことも出来ぬ。
ただ、セファイドの凌辱を甘んじて受けるしかない。
それは、王座をものにしていたイリスにとって、屈辱的なことでしかなかった。

「兄者。兄者はこれから何百年という年月を、ここで過ごすことになる。毎夜、私が犯して兄者の身体を慣らして差し上げよう。―――さすれば、いつの日か、兄者は私との子を孕むことになるだろう」

「――――――殺せ」

優しい手付きで先程の性交で傷付いた女性器に触れたセファイドに、イリスはこれから己の身に降りかかるであろう狂気に身を震わせた。真剣な眼差しを己に向けるセファイドに、己が弟の本気さを、己に対する執心の深さを見た。
自ら死ぬことのできないイリスは、決して了承が得られないと分かっていながらもセファイドに死を望む。勿論、その答えは否であった。自らにそのようなことを告げるイリスに、セファイドの双眸が悲しげに揺れる。

「私に兄者は殺せない。許せ、兄者」

傷付いた顔をして、イリスに口付けを落とすセファイド。
明らかに加害者である立場のセファイドが何故、そのような顔をするのか。
イリスはセファイドの口付けを受けさせられながら、胸の内で怒りを抱いていた。
悲しむべきなのは私であって、そなたではないと。






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あきゅろす。
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