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お題
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「それと……」

舎弟は言いにくそうに言葉を濁して咲夜を見た。それに男は初めて反応し、言葉を返した。

「それと?」

威圧するような声であった。
舎弟はすっかり身を竦めてしまった。

「か、加納 咲夜はど、うやら両性具有者だと」

しどろもどろに告げられた真実に、男はカッと目を開いた。

「あいつを呼べ」

冷たく男はそう言い捨てると、視線を咲夜に戻した。舎弟はすぐにその場を立ち去り、唯一男があいつと呼ぶ男の元へ急いだ。





「どうだ」

男は咲夜の足の間に身を潜らせている男に冷たく吐いた。

「初めてみましたね、こんなの。素晴らしい」

嬉々したように興奮する医師に、男は先より更に冷たく吐いた。

「どうなんだ」

医師は体勢を正し、手袋を外し、捨てた。

「結果だけ言うと可能です。この少年の……いや少女と言いますか?女性器はしっかりとその役目を果たしております。ちゃんと生理もきているようですし、事実上は妊娠が可能です」

医師のその言葉に男は口を緩ませた。しかし医師は、そんな男の姿を見ることはなかった。

「しかし何故、そんなことを私に……?」

医師は疑念を抱いていた。ベッドに意思もなく横たわる人物。しかも両性具有者である。彼は一体何者なのか。何故男は自分に妊娠の有無を聞いてきたのか。

「咲夜を俺の妻にする」

男は抑揚のない声でそう言った。
医師はただただ男の告げたことに驚かされた。何故ならば、今まで男はいくら先代に勧められたとしても決して嫁を取らず、結婚などしないものだと考えられていたからである。
そんな男が、こともあろうことに成人もしてないだろう純真無垢そうなこの子どもを妻にすると言うのだ。
医師は思わず正気ですか、と男に訪ねようとした。しかしその疑問は投げ出されなかった。男が咲夜の頬を愛しそうに優しげに撫でていたのだ。咲夜が目を覚まし、その瞳に自分を宿すことを男は心待ちにしていた。だから咲夜が目を覚ました時、男は心が狂ってしまうくらい喜んだ。



だが



不器用な男は

不器用なやり方でしか









咲夜に愛を伝えることが出来なかった。



不器用な男は愛し方を知らなかった。何故なら、男は今まで愛されることしか知らなかったからだ。







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あきゅろす。
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