お題
日常
「僕、このままでいいのかな」
「…………?」
ある昼下がりの午後。
珍しく午後がオフになった仁とのんびり家で過ごしていた。修さんは仕事が入っていて今はいない。
「このままでは、とは?」
仁は読み掛けの雑誌を置いて、不思議そうに尋ねてくる。
「いや、だってさ。本当なら僕は高校生な訳。でも高校には行かず、仕事をするでもなく家で……しかも人の家でだらだらしてるだけってさ……」
これって俗に言うニートって奴だよ。ニート。やっぱこれってヤバいよね。何かするべきだよね。
「修さんは別に気にしないでって言ってくれたけどさ、食費とか入れるべきだろ」
僕は花村家の一員として花村家に置いてもらっている。本当はここだけの話、また2人で一緒に暮らす予定だったんだけど、修さんに止められ(一緒に住みましょう的な感じで言われ)花村家に厄介になっているのだ。
いや、別に修さんがいるから食費とか気にしてる訳じゃないんだけどさ。仁と2人だったとしても多分気にする。
「だったら別に気にしなくていいんじゃないか?」
軽く言う仁に少しムカついてしまう。
「簡単に言うけどさ!今の僕って家事も何も出来ないし、ほんとただの厄介者じゃん」
2人は芸能人やってて稼ぎがあるけど僕にはそんなのなくて、お荷物的存在だし。だったら料理の一つくらい覚えろって話だけど残念ながら僕にはそっちの才能は全くないみたいだった。
「……厄介者……?真は俺たちの家族みたいなもんだろ……」
「…ぇ………」
家族……?
僕が……?
「あの人は、真みたいな娘が欲しかったと言っていたし、このままうちの子にしちゃおうかしらとも言っていた」
「え、あ」
頭が混乱していてツッコムべき所にもツッコめない。
「麻美に似ている真くんがいるだけで毎日が幸せとも」
何なんだこれ。何かの罰ゲームか。褒め殺しか。
「それに」
「俺と真は半分血が繋がっているし、“家族”たろ」
「………仁…」
「だから気にせず家にいてくれ。……俺も帰ってきた時、真がいてくれた方が安心する………」
「………うん…」
仁の願いに頷いて、僕は後ろから仁に抱き付いた。
どうやら、まだまだ僕のニート生活は続きそうだ。
おわり
――――――――――――――――
久し振りに読み返してみたら、不覚にも涙がほろり。
それにしても、私が書く作品の受けは妙に病んでいるような気がします……。何があったんだ、自分。
久し振りの冷たい指先ワールドに浸ってみることにします。
続編から半年。2人は花村家で3人で暮らしている設定です。
2009/08/11
(2008/11/24)
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