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お題
さくら




桜の開花予想が発表された。
もうすぐ、町は桜色に包まれる。



「お花見ですか?」

「そう、お花見」

今日ぼんやりとテレビを見ていたら、近くの公園が映っていた。そこには満開の桜が咲いてあり、とても綺麗で。
出来たら京丞さんやドクターと一緒にお花見に行きたいな……なんて。

「二代目にそのことは?」

「まだですけど……」

ドクターは難しそうな顔をする。
やっぱり駄目なのかなとうなだれる。
京丞さんがお花見なんて……似つかわしくないよね……。
でも、一緒に行きたかったな…。

「咲さん……。そうです!咲さん!!」

「え……?」

突然顔を輝かせたドクター。どうしたんだろうとドクターのことを見詰める。

「屋敷の中庭に大きな桜の木があります。そちらでされたら如何ですか」

そうなんだ……。きっとそこなら京丞さんもしてくれるはず。嬉しくて、直ぐに京丞さんに会いたくなった。





夜になって、漸く京丞さんが帰ってきた。直ぐに駆け寄って、昼間ドクターと話していたお花見のことを聞いてみる。

「あの、僕、お花見したいです」

「何?花見だと」

部屋に剣呑な空気が流れた。
京丞さんの怒った声。思わず驚いて身が竦んでしまった。

「は、はい。あの、中庭に桜の木があるって聞いて」

一緒に桜が見たくて。
縋るように言うと、今までの空気が嘘のように消えていた。

「あれか。そうだな、では行こうか」

「え?」

京丞さんは突然僕の腰を抱いてきた。そうして部屋の外へと促そうとする。

「あ、あの……?」

「夜桜というのも粋だろ。幸いにも今夜は満月だ」

漸く状況を理解した。
夜桜。
お花見なんて昼にするものだとばかり思っていたけど、夜見る月明かりに照らされた桜もいいかもしれない。

「じゃ、じゃあ僕、お酒の準備してきますね」

そう言って台所へ向かおうとしたら、強い力で腰を抱かれた。不思議に思い京丞さんを見上げると、不適な笑みを浮かべていた。

「いい、他の奴に準備をさせる。そんなことより、まだ言われていないのだが」

何のことだろうと首を捻る。でも直ぐに思い出した。お花見のことに夢中で、忘れてしまっていた。
うんっと爪先立ちで背伸びをして囁いた。



“おかえりなさい”



fin



あとがき

ゲロ甘な話。籠であまあまが書け
るとは思いもしませんでしたね。
ブログ掲載。



2008.4.6.





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